"全員が揃えた同じ嘘" 第16話
差の名はないわ。でも……この字、絶対に先の字よ」
ハガキを受け取る。 消印は、本県の最端にある、沿いのさな町の郵便局だった。 裏面には、万の端正な文字で、たっただけ記されていた。
『あなたが笑顔で暮らせていることを、くから祈っています』
そして、表面の端に、さな公施設の所が印字されていた。 『岬町 点字・障害者図館 図修復』。
「先は……教員免許を取り消された、あの町で、ボロボロになった点字図や古い本を作業で直す仕事をされてるそうよ。度だけ、くから見にこうとした。でも……けなかった」
は両で顔を覆い、再び涙を流した。
「わせる顔がないのよ。私のためにをめちゃくちゃにされた先に、私がどんな顔をして会いにけばいいの? 『助けてくれてありがとう』なんて、そんな軽々しい言葉、が裂けても言えない……!」
「言えるよ」
私はちがった。 迷いは、もう微もなかった。
「ちゃん。先が本当に守りたかったのは、君の未来だ。君が今、ここで子どもたちのために働いて、笑ってきていること……それこそが、先がを賭けて勝ち取ったものなんだよ」
私はスマートフォンを取りし、画面を点灯させた。
「でかせない。君に、背負わせない。あのの午、先を守るために嘘をついたのは、組の全員だ。
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……みんなで、返しにくんだ」
「みんなで……?」
「ああ」
私はポケットからメモ帳を取りし、輔と綾、そして連絡のつく同級たちの名をき殴った。
「、私たちは先に嘘をつかせたままでいた。『先は午に帰りました』って。でも、本当は違う。先は帰ってなんかいなかった。で、私たち全員を守ってくれていたんだ。その本当の放課の報告を……全員で、先に届けにくんだよ」
窓のでは、いつのにかいが割れ、の柔らかな差しが面をに輝かせていた。 は涙を拭い、の差し込む窓を見つめた。 その瞳から、彼女を縛り続けていた暗いが、ゆっくりと消えっていくのが見えた。
残されたはない。 私はへ戻り、組のグループメッセージに、あの片の写真を添付して送信した。 目の、本当の帰りの会を始めるために。
組のグループメッセージに文と写真を送信した直、画面の通音は鳴り止まなくなった。
『先はのとき、まだにいました』
その片の写真のに、私は田さんの証言、輔の告、そしてが語ったあののすべての真実をき連ねた。 倉美奈子先が、決して精神を病んで逃げしたのではなかったこと。 の教え子を暴力から救うため、そして私たちの児童を沼の法廷闘争から守り切るために、自ら「狂った教師」
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のを被って職を辞したこと。 私たちが、喉の奥に刺さった棘のように抱え続けてきたあの全員致の嘘は、先が命を賭して託した防線だったこと。
最初に返信を寄越したのは、私を度ブロックしたはずの綾だった。
『私……何をしてたんだろう。ずっと怖くて、自分の活を守ることばかり考えてた。先、私のこと、どんな気持ちで見送ったんだろう』
続いて、輔がき込んだ。
『俺はずっと、自分が先をに閉じ込めてを奪ったとってた。でも違ったんだな。先は、俺たちに未来をくれたんだよな』
元に残っている者、京の企業で働く者、すでに結婚して幼い子の親になっている者。 歳になった元児童たちから、次々とメッセージが届いた。 誰もが、に置きりにしてきた自分たちのさと、あまりにもきすぎた恩師のに、画面ので涙していた。
「会いにこう」
綾がそう呼びかけた、反対する者は誰としていなかった。 仕事や庭の事でどうしても現に来られない者も、きのやボイスメッセージを託してくれた。 私たちは派な束も、仰々しい贈り物も用しなかった。 ただ、それぞれの胸に分の真実を抱え、全員が落ち着いたのにを包んで集まることを決めた。