"全員が揃えた同じ嘘" 第8話
マグカップののコーヒーが波打ち、黒い滴が伝票のにねた。
「嘘をついたのは俺たちだ! 俺が……俺が鍵をかけたからだ! 先をあそこに閉じ込めたのは、俺なんだよ!」
輔の目から、粒の涙がぼろぼろと溢れした。 の柄な男が、顔をくしゃくしゃにして、子供のように嗚咽を漏らしていた。
「……だって忘れられたことはねえよ。夜、目を閉じると、あのガチャガチャっていうチェーンの音が聞こえるんだ。先が扉の向こうで叫んでる声が、かられねえんだよ……。俺が先のをめちゃくちゃにしたんだ。俺が……」
私はパイプ子からちがり、輔の肩をく掴んだ。
「だったら、教えろ。どうして鍵をかけた? 先はどうして、おに鍵を渡したんだ?」
輔は涙で濡れた顔をげ、私を見た。 その瞳には、もの、たったで抱え込み続けてきた獄のみが宿っていた。
「……ここじゃ話せない」
輔はを啜り、壁にかけられた軽トラックの鍵を乱暴に引っ繰った。
「来い、律。……あそこへくぞ」
脚は、学へづくにつれてさらに激しさを増していった。
緑ヶ丘学の正は、すでに事用のいフェンスで固く閉ざされていた。 『ち入り禁止 解体事関係者以入を禁ず』の板が、たいに打たれている。 庭の向こうには、かつて私たちがり回った造混じりの旧舎が、骨組みを剥きしにしたような痛々しい姿で沈黙していた。
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「裏のプールの脇から入れる。フェンスの網が破れてる所があるんだ」
輔は慣れた取りで、濘むむらをんでいった。 事用の黄いトラロープを潜り抜け、私たちは煙る庭の隅を横切った。 解体用のが、巨な恐竜の骨のように黒々としたを落としている。
体育館の裏に回ると、面へ向かって落ちていくような、狭く急なコンクリートの階段が現れた。 が滝のように階段を流れ落ち、の排溝へと吸い込まれている。 階段のりには、錆びついた鉄パイプのすりがあり、その先は昼だというのに完全なに包まれていた。
「ここだ……」
輔が階段のでち止まり、震える声で言った。 元から、湿ったコンクリートと腐った材、そして閉じ込められていたの臭いがちってくる。
階段を段ずつりるたびに、周囲のが失われていく。 輔が作業用のごつい懐灯を点灯させた。 いLEDの鋭いが、剥きしの配管と、苔のえた湿った壁を照らしす。
突き当たりに、な鉄の扉があった。 かつてボイラーと体育器具の予備倉庫として使われていた所だ。 扉の表面には、激しく何かが衝突したような無数の凹みがあり、ドアノブの周辺の塗装は無残に削り取られていた。 そして、その取っには、今でも茶く錆びついた太い鉄の輪っかが、無残にぶらがっていた。
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輔がに巻きつけた、自転用のチェーンロックの残骸だった。
「ここで……何があったんだ」
私の囁くような問いに、輔は懐灯のを鉄扉のノブに向けたまま、静かに語り始めた。
「あの……の、の半ばの曜だった」
輔の声が、のたい空気に反響する。
「午分頃だ。目の体育が終わって、俺は体育係として、ボールの籠を片付けにこの予備倉庫へ来たんだ。そしたら……舎の裏のフェンスを乗り越えて入ってくる男が見えた」
「男?」
「ああ。作業着を着て、だらけの靴を履いた、柄な男だ。すげえ形相で、酒と煙の饐えた臭いをプンプンさせてた。男は真っ直ぐ、体育館の脇を歩いてきた。その、倉庫の奥で用具の点検をしてた倉先が、異変に気づいてにてきたんだ」
輔の呼吸が、再び浅く乱れ始めた。
「先のろには……篠原がいた。は体育を見学してて、先の伝いをしてたんだよ。その男を見た瞬、が……聞いたこともないような鳴をげたんだ。『お父さん』って」
私の胃のあたりが、キュッとたく縮みがった。 の、父親。
「実の父親だったんだ」
輔は壁にをつき、忌まわしい記憶を吐きすように言葉を絞りした。