"全員が揃えた同じ嘘" 第6話
やがて、田さんはく、底から絞りすような溜息を吐きした。
「……佐久君」
「はい」
「おさんたち子どもは、あの、誰としてあのにはづかなかったはずだ。そう約束したはずじゃったがな」
「約束?」
「そうだ。……だが、そうか。やっぱり、あの子がき残していたのか」
田さんの声は、酷く掠れていた。悔と、いのみに押し潰されそうな声だった。
「わしはな、佐久君。この、ずっとあののことがにてくるんじゃよ。夜に目が覚めて、や汗をびっしょりかいてな。警察にも、教育委員会にも、誰にも言えんかった。言えば、あの子たちの未来が全部吹きんでしまうとうたら……が裂けても言えんかった」
臓が、鐘を打つように激しく脈打ち始めた。 私はちがり、窓のの煙る景を見据えながら、スマートフォンをくに押し当てた。
「田さん、教えてください。あの、何があったんですか」
田さんは、途切れ途切れに、だが決定な事実をにした。
「あの……午しのことじゃ。わしが見回りをしていると、体育館のへりる階段のところで、ガチャガチャと属の鳴る音がしたんじゃ」
「属の音?」
「ああ。……見にくと、倉庫の頑丈な鉄扉に、太い自転用のチェーンロックが巻きつけられとった。側から、ガチガチに京錠をかけられてな。
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からられんように、完全に施錠されとったんじゃよ」
背筋に、たい汗が伝い落ちた。 側から、施錠されていた。 つまり、にいたは、自ら閉じこもったのではない。誰かに閉じ込められたのだ。
「には……倉先がいたんですか?」
「ああ。……から、先の叫び声と、何かが激しくぶつかる物音が聞こえた。だがな、佐久君。その鍵を側からかけて、チェーンを握りしめて青い顔でち尽くしとったのは、じゃなかった」
田さんの声が、微かに震えた。
「その鍵を持っとったのは……おさんたちのクラスの体育係で、体育器具の鍵を預かっとった、あの体のでかい男の子じゃ。輔君じゃよ」
輔。 私の幼馴染で、運神経が良く、いつもクラスのにいたあの活な輔が。 なぜ、担任の教師をに閉じ込め、から鍵をかけたのか。
「輔が……先を閉じ込めたんですか?」
「わしが駆け寄ると、君は泣きながら叫んだんじゃ。『田さん、けちゃダメだ! 今けたら、全部終わっちゃう!』ってな。そして、こう言ったんじゃよ。『先に言われたんだ。になるまで、絶対にここをけるなって。そして、みんなに「先はに帰った」って言わせろって……先が、泣きながら僕に鍵を渡したんだ』ってな」
田さんの告が、私のので激しい協音を奏でていた。
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先自が、鍵を渡した? になるまでけるなと命じ、自分はすでに帰ったという嘘を、子どもたちに指示した?
「田さん、それはどういう……」
「それ以は、わしのからは言えん」
田さんは、きっぱりと私の言葉を遮った。
「わしがっとるのは、ここまでじゃ。その、を過ぎてから何が起きたのか……なぜ先があんな血まみれになって、あの子を抱きしめとったのかは……君に直接聞くしかない。あの子は、あのからずっと、自分ので先を閉じ込めたという獄を背負ってきとるはずじゃ」
話が、静かに切れた。
のが、段とくなっていた。 窓ガラスを激しく叩く粒の向こうに、解体を待つ緑ヶ丘学の、黒々とした舎のがおぼろげに見えていた。
輔。 今もこので、実の自備を継いで働いている私の幼馴染。 あいつが、すべての発端を握っている。
私はポケットのの片をく握りしめ、のへと駆けす準備を始めていた。のあの午に、置きりにされた真実を取り戻すために。
たいが、のフロントガラスを絶えなく叩いていた。
ワイパーが甲いゴムの摩擦音をてながら、扇形に界を拭いる。 のれ、錆びたトタン根のや資材置きが連なる県沿いに、目指す板が見えた。
『自備』。赤茶けた板の文字は潮と排気ガスで半分かすれ、敷内には事故や廃同然の軽トラックが無造作に転がっていた。