"3か月寝たきりの娘を、婿に黙って連れ出した日" 第8話
自分でいた返事
救から2かが過ぎたころ、さやかは般病棟のベッドで、健からのを読むことになった。
傷の治療は続いていたが、背もたれを調してもらえば、いなら起きていられた。松井弁護士は娘に、私にもいてほしいかと尋ねた。娘が頷いてから、私は隣の子へ座った。
には謝罪があった。自分も追い詰められていたこと、妻を苦しませた結果を反省していることが、丁寧な文字でかれていた。
さやかはゆっくり読みめ、途で指を止めた。
『僕はこのままでは、仕事も将来も失ってしまいます。どうか、厳しい処罰を望まないと伝えてください』
続く文章では、まれてくる子どもに父親が必だと訴えていた。さらに、私への言葉もあった。
『お義母さんからも、さやかを説得していただけませんか。僕たちは族だったはずです。僕のを終わらせないでください』
娘は最まで読んでから、をテーブルへ置いた。の端が点滴の管にづき、私はを伸ばしかけた。さやかが自分で位置を直したので、途でを止めた。
「私がんだあとのことは、もう決めていたんですよね」
娘は松井弁護士を見て言った。返事を急かさず、自分の言葉を続けた。
「今は、きている私に、自分のを助けてくれって言ってるんですね」
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私はのの、健の名を見た。病院で責任は自分が持つと言い張ったが、今は娘に自分の将来を預けようとしていた。
「返事は、今でなくても丈夫です」
松井弁護士が言うと、娘はさく首を振った。
「もう決めています。許したことにしないでください」
その声はきくなかった。けれど、で健を見ながら答えていたときのような、途で消える声ではなかった。
弁護士は、治療費などの賠償について相側から申しもあると説した。内容は別に検討でき、支払いを求めることと、寛な処分を願うことを緒に考える必はないという。
「払うべきものは払ってほしいです。でも、そのために、私が許したと言うのは嫌です」
娘はそう答えた。私は横で頷き、ようやくをいた。
「私から娘を説得するつもりもありません」
健は、私がさやかのためなら何でもすることをっていた。それを利用して、今度は自分のために娘をかそうとしていた。
松井弁護士は、母娘の希望として相側へ伝える内容を確認した。私は、健のの言葉にわせて返事を考えるのをやめた。
「娘をあの部からしたのは、あのを助けるためではありません。これからも、娘が自分で決めることを支えます」
さやかがこちらを見た。その目を見返すと、娘はほんのし頷いた。
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婚の続きについても、本の希望が確認された。私は必なことを先にめたくて、何度も弁護士へ質問しかけた。そのたび、まずさやかがどうしたいかを聞いた。
「婚したいです。治療が全部終わるまで、あのの妻で待っていたくありません」
松井弁護士は、今できる準備とこれからの続きを説した。今署名すれば全て終わるわけではない。それでも、誰に何を頼むかを娘自が選べるようになっていた。
委任の類をに、さやかはペンを取った。く横になっていた体には、名をく姿勢を保つだけでも負担があった。私はの位置を直そうとして、娘に聞いた。
「し、押さえていようか」
「うん。の端だけ、お願い」
頼まれたところを指で押さえると、娘はゆっくり自分の名をいた。私は娘のには触れず、だけが滑らないようにした。
病院へ押しかけた健も、ペンを持っていた。署名さえすれば娘のき先を決められるとっていた彼ので、あのはかなかった。
今、娘の元では、自分で選んだことが類になっていった。
き終えると、さやかは息をつき、背もたれへ体を預けた。私はペンを受け取るに、まだ使うかと尋ねた。
「もうし、持っていたい」
娘は指ののペンを見ていた。松井弁護士は類を確認し、相との連絡は自分を通せばよいと伝えた。
も、娘の希望を聞いたうえで預かってくれた。
帰り際、さやかが弁護士を呼び止めた。
「裁判で、私からも話せますか」
その方法や体への負担について、これから相談していけると説され、娘は頷いた。私は顔を覗き込まず、続く言葉を待った。
「あのの説だけで、私の3かを終わらせたくないんです」