"3か月寝たきりの娘を、婿に黙って連れ出した日" 第2話
34kgの体が語ること
「婿が、の先に相談していると……」
私が答えると、医師は頷き、実際にどこかへ通院したことがあるかを尋ね直した。私は、さやかが寝込むようになってからのを数えようとした。健のでかけたことはある。診察を受けたと聞かされた。だが、病院名を確かめたことはなかった。
「今は染への治療と、血圧など全の状態を支える処置をめています。まだできる状態ではありません」
娘の体は34kgだった。
3か、洗面所の体計に乗ったさやかが、48kgだったと言っていた。同じ所に私もっていたのに、その差がいつできたのか説できなかった。
医師は、背から腰にかけてい褥瘡があり、染を伴っていると話した。く同じ所に圧力がかかることや、栄養状態の悪さが関わる傷だという。
「婿は、病気のせいで皮膚にも症状がると言っていました」
「持病については確認します。ただ、それだけで今の状態を説することはできません。普段、体の向きを変えたり、傷を診てもらったりしていたか、分かりますか」
私は膝ので鞄のをいた。何か答えになるものを探したかった。財布と鍵、読用の鏡しか入っていなかった。
夫をくしてから、娘の学の類も予防接種の記録も、私がまとめてきた。結婚してからも変わらず世話を焼く私に、健はよく笑って言った。
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「もう僕がいますから。お母さんは、し楽をしてください」
35歳の婿は医療器を輸入する会社の副社で、病院との取引にも詳しかった。私には分からない説を、すらすらと続けた。それを、娘を任せてよい理由にしてしまった。
「携帯に、送ってもらった類があります」
画面をくと、英文の診断資料が見つかった。のクリニック名と医師の名がかれ、そのに健の本語の説が添えられていた。
医師は、記載された内容と娘の状態を照し、発元も確認する必があると言った。眠気のさなどには薬の響も疑われるが、何をどのように使っていたかは、持参したものや検査で調べていくという。
「このだけで、病名や治療が正しかったとは判断できません」
私は携帯を差しした。そこには、信じて従ってしまった私の返事も残っていた。
病院から連絡を受けた警察官が来るまで、護師が静かな部に案内してくれた。たけしも荷物を届けに来て、子の横に鞄を置いた。私は礼を言おうとして、代わりに、もっとく連れせばよかったとにした。
「先、今はここにいます」
たけしは、廊の奥を見た。私も同じ方を向いた。あの扉の向こうには、娘のためにくが何もいる。では、健以の誰もづけなかった。
事を聞きに来た刑事に、私は田恵子と名乗った。
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62歳、元教員。同居を始めた経緯から説し、寝に入れなくなった10のやり取りを見せた。
『薬は僕が管理します。勝に触らないでください』
そのには、私がくの病院へ相談したと伝えたメッセージもあった。
『別の治療を混ぜたら危険です。さやかも嫌がっています。予約は取り消してください』
私はそのとき、寝で娘にも尋ねていた。さやかは布団を顎まで引きげ、健を見てから、さく首を振った。膝を抱えたくなるほど、その景が胸を圧迫した。
刑事は、画面を消さずに見せてほしいと言った。聞かれたことに答えながら、私は都の悪い自分の返事もばさずに読んだ。
夕方、医師の許を得て、ごくいだけ娘に会えた。そばにいた護師が私の来たことを伝えると、さやかの瞼がくいた。
「ここにいるよ」
娘は私を確かめるように見たあと、入へ目をかした。
「……帰りたく、ない」
声が途切れ、唇が乾いて貼りついた。私は顔をづけたが、聞き返すに、娘は残りの息で言った。
「あそこには、戻さないで」
護師も聞いていた。私は娘のにそっと触れ、今はここで治療を受けていいのだと伝えた。何があったのかを問い詰めるのはやめた。娘が目を閉じても、指をすぐにはさなかった。
廊へ戻り、その言葉を刑事に伝えた。病院では健が来たの対応が話しわれ、私は、1で彼と会わないように言われた。
「ご自宅に残っている薬やべ物についても、確認をめます」
その言葉で、運ばれる直の娘の指先がよみがえった。私のではなく、マットレスの縁を探っていた。
あのとき、さやかは何を伝えようとしていたのだろう。