"毎月20万円送っていたのに、82歳の母は皿を洗っていた" 第14話
最のの当
堂の裏で、健は主から借りた掛けを結んだ。約束よりしく着いたが、ふみはもう作業台の横に座り、割り箸をの袋に入れていた。
「を洗ったら、こっちへおいで」
母に呼ばれ、健は袖をまくった。主が用した所には、洗い終えた皿と清潔な布巾が置いてある。昼の営業、片付けを伝うことは、母と主の両方に確かめてあった。
健が皿の表だけ拭いてねようとすると、母が指を差した。
「裏にが残ってる。次のお皿まで濡れるよ」
裏返すと、台の周りにがたまっていた。健は拭き直し、次の皿からは両面を確かめた。母は座ったまま袋詰めを続け、ときどき彼の元を見た。
会社で皿を拭く速さを注されたことなどない。だが、ここでは母が仕事をっていた。健が棚の位置を尋ねるたび、母は迷わず答えた。
「きいのは。に置いたら、私には届かないから」
棚には、腰をかがめすぎずに取れる位置へ皿がまとめてあった。母の作業を軽いものに替えてから、主が並べ直したのだという。
「助けてもらっていたんですね」
健がをげると、主は洗いの蛇を閉めた。
「こちらも助けてもらいました。ふみさん、箸がりなくなるに気づいてくれるんですよ」
母は返事をせず、最の袋を箱へ入れた。
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その元がしがった。健は礼をねる代わりに、まだ残っていた皿へを伸ばした。
片付けが終わると、主がさな封筒を持ってきた。母は掛けをしてから受け取り、の細と額を確かめた。
「今の分、これで全部ですね」
「はい。い、ありがとうございました」
母は封筒を鞄の内側へしまった。健はそのに触れず、横で待った。最まで働いて受け取ったを、母は自分で数え、自分の鞄に収めた。
「からは、昼に計を見なくてもよくなるね」
母が言うと、主が笑った。
「今度はべに来てください。席は空けておきます」
「忙しいに席を取っておかなくていいよ。空いているに来るから」
母も笑った。帰り際、いつもの癖で箸の箱へ目をやったが、蓋が閉まっているのを見て、そのまま扉へ向かった。健は鞄を持とうかと尋ね、頼まれた買い物袋だけを受け取った。
には夕方のが残っていた。母はでひと息つき、今はタクシーで帰りたいと言った。健はを呼び、母が座ってから隣に乗った。
に着くと、母は当の封筒を卓へ置いた。健はたい麦茶を運び、子に腰をろしてからまいの話をした。
「階段のない部を探すこともできる。ここにむなら、直したいところを教えてほしい」
母は麦茶をみ、窓ののさな庭を見た。
「私はここがいい。買い物にくも分かるし、所に話すもいる」
「分かった。じゃあ、勝とも相談して修理を頼もう」
健が持参した宅の資料を閉じると、母は浴を指した。入りのにつかまる所が欲しいという。勝が応急処置をしていた漏りも、業者に見てもらいたかった。
健は帳へきながら、ほかにもないかと尋ねた。母はし考え、窓際まで歩いた。
「庭に、を入れた箱を置けるかな。腰をく曲げずに触れるさで」
「を植えるの?」
「ねぎ。しだけ使いたいに、買いになくて済むから」
健は帳の修理項目のに、プランターときした。母は窓をしけ、置きたい所を指している。
「きすぎるのは困るよ。私が自分で世話できるものにしてね」