"毎月20万円送っていたのに、82歳の母は皿を洗っていた" 第13話
役員名簿から消えた名
招集通から所定の期を置いて、臨株主総会がかれた。会の入には席確認の机が置かれ、株主たちが資料を受け取っていた。
は、以のように担当者へ準備を指示しなかった。自分の席を確認し、説用の面をへ置いた。専務の役職をれてから、会社の支払いや員配置に関する指示は、彼を通らなくなっていた。
調査の経過と解任議案が説されると、株主から質問がた。
「役員を替えたら、この件は終わりになるのですか。損失の回収はどうなりますか」
会社側は、取引ごとの請求と資の回収をめ、必な調査に協力する方針を答えた。の退任で、それらの作業を打ち切ることはない。
健も、見直した承認順と、部からの報告を受ける仕組みについて説した。すでに防いだ2億4000万円と、これから回収すべき損失を分け、実際には戻っていないを回収済みとは言わなかった。
は発言の会を求めた。
「私が築いてきた取引先との関係があります。急に私をせば、現が回らなくなる。会社に貢献してきた経緯も考えていただきたい」
会の方で、く会社を見てきた株主が資料から顔をげた。
「その貢献はっています。だからこそ、説を聞きたい。実態のない仕事へ払ったについて、まだ答えがありません」
広告
は用していたを見た。創業の資支援や、担当してきた事業が並んでいたが、質問への答えにはならなかった。
健は引き継ぎの状況を説した。正規の事と従業員への支払いは予定どおりみ、取引先との協議もしい担当者が続けていた。がいなければ全員が困るという話は、すでに現のきとわなくなっていた。
質疑が終わり、採決がわれた。
必な賛成を得て、解任議案は決された。議の宣言を聞いたは、机ののをそろえた。どれだけ端をわせても、もう自分が承認する類はそこになかった。
閉会、担当者が残る貸与物と引き継ぎ事項を確認した。は社員証を封筒へ入れ、返却欄に署名した。以なら部が代わりに片付けた荷物を、そのは自分で鞄にしまった。
健にづき、く言った。
「ここまでやるとはわなかった」
健は、のにある返却類へ目をやった。
「今の請求については、代理を通して連絡します」
昔の呼び方で引き留めることはなかった。は返事をせず、案内する職員とともに会をた。
会社へ戻ると、役員名簿からの名がれていた。調査資料の提先や、取引先へす通も、決定にわせて更されていく。1枚の名簿だけが変わったのではなく、くに集まっていた仕事が別のへ渡っていた。
広告
弁護士からは、健の個資3450万円について、側が返還協議に応じる向を示したと連絡があった。会社の追及を取りやめる条件にはしないことを確認し、具体な支払方法を詰めることになった。
まだ入はない。支払額と期限を、面で定める作業が始まったところだった。
夕方、勝からメッセージが届いた。
『母さんが、末にへ来られるかって。最のになるから』
健は机のの予定表をいた。末にはせない決裁があったが、朝のうちに確認し、現の判断を任せる相も決められた。
『ける。何にけばいい?』
しして、勝から返事が来た。
『客として来るんじゃないぞって。皿を拭くなら、教えるそうだ』
健は画面を見て、さく息を吐いた。母は会社で何が決まったのかを尋ねず、自分が最まで終えたい仕事の話をしていた。
彼は予定表に、堂へくをき込んだ。