"毎月20万円送っていたのに、82歳の母は皿を洗っていた" 第9話
母が読んだ確認
午、ふみのを訪ねた男は、会社の管理部の野と名乗った。のでく働いているという。修理部品を取りに戻っていた勝が名刺を受け取り、用件を尋ねた。
「活費の件で、専務から預かってきたものがあります。お母様にご確認いただければと」
ふみは卓を片付け、男を玄関にい子へ通した。男は封筒から類を2部し、署名欄がになるように置いた。
「くご便をおかけしました。過の分についても、こちらでまとめて対応する準備があります」
ふみは差しされたペンを取らず、鏡を掛けた。
「息子は、この話をっているのかい」
「詳しい続きは、まず私どもにお任せください。ご族のことで社のお仕事が滞るのは、専務も配しておられます」
勝が何か言いかけたが、ふみは類のにを置いた。
「先に読ませておくれ」
確認の冒には、過の活費を全額受領済みであり、従来の支払処理を承することがかれていた。ふみはをしざけ、次の段落まで読んだ。
「ここに、受け取ったといてあるね」
「これまでの事務を理するための表現です。今の対応も含めて、問題を解決したという形にしておく必がありまして」
「これまでと、これからは違うだろう」
男はペンを署名欄の横へかした。
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「分のお話をくめるためにも、まずはこちらにお名を」
ふみは計簿をしまった箱に目をやった。それから、まだ何もいていない確認を男の方へ向け直した。
「受け取っていないおを、受け取ったとはけないよ」
「お気持ちは分かります。ただ、社のおもありますので」
「私が違ったことをかなければ困るなら、息子に自分で説させておくれ」
男の指がペンかられた。勝は母のろへたず、隣の子に座った。
「した分を払うというなら、その内容だけけばいいですよね。昔から全部届いていたという確認は、必ないでしょう」
男は類を見ろした。に相談してから改めると答え、2部ともねようとした。
ふみは自分の元の1部を押さえた。
「これは私に確認してほしくて持ってきたんでしょう。息子にも読んでもらうよ」
勝が名刺の会社名を確かめ、持参した内容を健に伝えると言った。男は署名を得られないまま、残る1部を封筒へ戻した。
戸が閉まると、ふみは鏡をして卓へ置いた。勝がを入れ、兄へ話をかけた。事を聞いた健は母に代わってほしいと頼んだ。
「怖いいはしなかった?」
「きな声もされていないよ。ただ、おのためだと言われた」
「そんな確認を頼んだ覚えはない」
「分かっているよ。
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だから、今はおに聞けるんだろう」
健はちがりかけて、子に座り直した。母の声は落ち着いていた。代わりに鳴り込みにくより先に、母が残したものを受け取る必があった。
勝に頼んで類の写真を送ってもらい、健は弁護士へ回した。名刺と封筒も捨てずに置いてもらう。母に追加の返事を求める連絡は、今、代理を通すと伝えることになった。
「かなかったのに、役につのかい」
母に聞かれ、健は届いた写真を見た。署名欄は空だった。そのには、実際の入記録と違う内容が、はっきり文章になっていた。
「かなかったから、違った説で終わらずに済んだんだよ」
話を切ってもなく、調査担当者から別の連絡が入った。会社に提を求めていた旧資料について、保管担当者の閲覧権限をす申請がているという。の部も廃棄対象に追加されていた。
健は申請者の名を確かめた。
母のに置かれた名刺と、同じ名だった。