"母の通帳に記された450円の謎" 第8話
まるでが凍りついたかのように、彼は目を見いたまま固まってしまった。
「450円……? ばあさん、今何て言った? いくらだって?」 「450円よ。数料の550円をせばちょうど1000円になるでしょう? あなたが忙しい仕事のになんとか1000円面してくれているんだって、私はずっとそうっていたの。器用なあなたのだとって、1円も無駄にしないように頑張ってきたのよ。だから私は幸せだったわ」
健の顔から急速に血の毛が引いていくのが分かった。彼はわなわと唇を震わせ、絞りすような声で言った。
「450円……そんな、そんなバカな……母さん、落ち着いて聞いてくれ。俺は、俺は毎、に5万円を渡していたんだぞ! 母さんの活費として、必ず母さんの座に振り込んでくれって、そう頼んでいたんだぞ……!」
今度は私が凍りつく番だった。5万円――私には像もつかないようなだ。
「5万円……? そんなの、私は1度もそんなお見たことがないわ……通帳には毎きっちり450円という数字しか並んでいなかったわよ」 「あいつ……あいつ、なんてことを……!」
健は拳をくなるほどく握りしめ、膝に激しく叩きつけた。その振がベッドにまで伝わってくる。
「俺は信じていたんだ……が俺の代わりに母さんの面倒を見てくれているって。薬剤師の仕事が忙しくてなかなか会いにいけない俺の代わりにあいつが母さんの支えになってくれているって……それなのに、5万円のうち4万9500円をあいつは着していたっていうのか……!」
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「4万9500円……?」
毎そのが私のらないところで奪われていたのだ。3ヶ、私が極寒の部で震え、をして耐えていた、さんは私の命を削って私を肥やしていた。私が11、のような汁をすすって飢えをしのいでいた、あの女は奪ったで贅沢を繰り返していた。
「母さんを飢えさせてなせようとしていたのか……自分の義理の母親を、なんて卑劣な……なんて恐ろしい女なんだ……!」
健の目から粒の涙が溢れした。それはりと、自分自のふがいなさに対する激しい悔の涙だった。
「ごめん、母さん……俺がもっとくに気づいていれば……あいつの言葉を鵜呑みにせず、1度でも自分の目で母さんの活を確かめていれば、母さんをこんな栄養失調でぬような目にわせることはなかったのに……俺が、俺が全部悪いんだ……!」
健は私の骨ばったを両で包み込み、子供のように泣きじゃくった。私はその温かさをじながら、胸の奥が激しく波打つのをじていた。しみよりもりよりも先に、きな衝撃が私を支配していた。
さん――彼女の正体がこれだったのだ。私をの世界から遮断し、息子との連絡を断ち、じわじわと干びさせて殺そうとしていた。数ヶの獄のような活の正体が、ようやくのにさらされた。
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健は私の震えるをそっと握り直すと、氷のようにたい目で病のを見つめた。
「母さん、しだけここで待っていてくれ。俺の目で確かめてこなきゃいけないことがあるんだ」
病の空気はたく沈み込んでいた。健が度自宅へ戻り、しばらくして再び私の元へと帰ってきた、そのにはきなリュックサックが握られていた。あの子の目はこれまで見たことがないほどたく、鋭いを宿している。
「母さん、もうすぐあいつが来る。全部俺がケリをつけるから。母さんは黙って見ていてくれればいいからね」
健の声は静かだったけれど、その奥には煮えくり返ようなりが潜んでいるのが分かった。それからもなくして、病のドアがノックもなしに勢いよくけ放たれた。
「ちょっと、健さん! わざわざエステの予約をキャンセルさせてまで呼びすなんて、体どういうつもり!? お母さんもぬぬ詐欺はやめてください、本当に迷惑なんだから!」
現れたのはさんだった。彼女はまだ級な美容液の匂いを漂わせ、完璧にえられた顔で嫌そうに言い放った。私の容体を配する言葉なんて最初から言もなかった。健がゆっくりとちがり、彼女のに歩み寄った。
「お、さっきまでどこにいた?」