"身重の愛人を抱き起こした私" 第16話
「な……っ!?」
康平の喉から、蛙が潰れたような音が漏れた。 義母は座布団ので目を見き、幽霊でも見たかのように葵を指差した。
「あ、あんた……! なんでここにいるのよ! この棒猫が!」
「さち子さん、静かにしなさい!」
正雄叔父のが義母を黙らせる。 先は淡々と広の央へみて、親族同に向かって々とをげ、胸元のの弁護士バッジをらせながら名刺を差しした。
「突然の訪問、変失礼いたします。私は佐藤由さんの代理を務めております、弁護士の直と申します。本は、由さんと佐藤康平氏の婚条件の適法な協議、ならびに、康平氏が親族の皆様に隠蔽されているな事実をご報告にがりました」
弁護士という言葉がた瞬、親族たちの顔が変した。 康平の顔からは見る見るうちに血の気が引いていく。
「べ、弁護士だと……? 由、お、俺からをむしり取ろうって魂胆か! 言っておくがな、俺にはおに払うなんて円もないぞ!」
「ええ、っていますよ」
先は徹な声で言い放ち、元の分いブリーフケースから束の類を取りした。
「あなたが現、消費者融や無登録の融業者から、総額千百万円を超える額の債務を抱えていることは、当事務所の調査ですでに把握しております」
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「に……千百万……!?」
正雄叔父が絶句した。 親族たちからも「おい、本当か」「康平が借!?」と鳴のようなざわめきががる。
「な、何を馬鹿なことを言ってるんだ! そんなのデタラメだ!」
康平は唾をばして喚き散らしたが、先はじず、類の枚を正雄叔父のに置いた。
「これは、裁判所から本付けで送達された『産仮差押決定通』です」
「仮差押え……?」
正雄叔父が類を凝する。
「はい。康平氏は、FX取引の追証と無謀な投によって作った巨額の借を返済するため、現居している佐藤の自宅産を単独名義に変更し、それを担保に千百万円のたな借入をう計画をてていました」
先の事務な朗読が、静まり返った部にナイフのように突き刺さる。
「しかし、この産の購入に際しては、由さんの独代の固財産から、百万円のが拠されています。由さんには相応の持分権がある。康平氏は、その事実を隠蔽し、由さんに『妊の責任』を擦り付けて財産分与を切放棄させたで、刻もく協議婚を成させようと画策していたのです」
「康平……! あんた、これ、本当なの!?」
義母が康平の腕にしがみつき、半狂乱になって揺さぶった。
「このを担保に入れるですって!? 私のむはどうなるのよ! そんな借、聞いてないわよ!」
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「ち、違うんだ母さん! これはなもので、来には倍になって返ってくる投資なんだよ!」
「見苦しい言い訳はやめなさい」
私が静かにをいた。 え切った私の線に、康平はびくりと肩を竦ませた。
「あなたが斎の机の奥に隠していた類、すべて見ました。督促状も、担保設定の承諾も、そして『妻を追いして即座に担保提供』とかれたあなたのメモも、すべて先に提済みです」
康平はをパクパクと閉させ、もはや言葉を紡ぐことすらできなくなっていた。 額から滝のようにや汗が流れ落ち、畳のにポタポタと染みを作っていく。
「そして」
先が、部の隅で静かにっていた葵に線を向けた。
「こちらの葵さんについてです。康平氏、ならびにさち子様は、彼女のお腹にいるお子様が『佐藤の待望の跡取り』であると、昨夜まで主張されていましたね」
義母が息を呑み、憎悪の籠もった目で葵を睨みつけた。
「その女は詐欺師よ! 康平をたぶらかして借を背負わせた悪魔よ! そんな汚いガキ、佐藤の子どもであるはずがないわ!」
「お義母さん」
葵が、震えながらも凛とした声で歩にた。 彼女はコートのポケットから、スマートフォンと枚の診断を取りした。
「私は、康平さんから『妻とは完全に破綻している、婚して君と結婚する』と言われて信じていました。
ですが、週、妊娠が分かって絶が難しくなった私を、康平さんは藤総病院へ連れてきました」