"身重の愛人を抱き起こした私" 第12話
「な、何よ……! あんたに何が分かるのよ! 子どもも産めない役たずのくせに!」
「ええ、私には分かりません。自分の息子の本質も見抜けず、都が悪くなればすべてに責任を擦り付ける、あなたのその浅ましさは」
私の底えのするような線に、義母は瞬気圧されたように言葉を詰まらせた。
「……ふ、ふん! いい気にならないでよ! 康平はあんたとも絶対に別れるって言ってるんだから! あのは康平のものよ、あんたなんかに文だって渡さないんだからね!」
義母は捨て台を吐き捨てると、ヒールの音を荒々しく響かせながら、逃げるように階段をりていった。
静まり返った通で、私はドアを回、指の関節で軽くノックした。
「葵さん。義母は帰ったわ。けなさい」
ガチャリと、恐る恐るチェーンがされる音がした。 ドアの隙から現れた葵の顔は、涙とでぐしゃぐしゃだった。 髪は乱れ、唇は青く震え、今にも倒れ込みそうだった。
「……奥さん……」
葵はドアノブにしがみついたまま、そのに崩れ落ちた。
◇
。 アパートのくにある、国沿いの寂れたファミリーレストランの奥のボックス席に、私たちは向かいって座っていた。
夕方の内は閑散としており、員たちの気のない声と、線放送のっぽいポップスだけが流れている。 テーブルのには、葵のに置かれたホットミルクと、私ののアイスコーヒー。
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どちらも、もつけられないまま湯気と結をてていた。
葵は両でマグカップを包み込み、俯いたまま震えていた。 その元には、先ほど彼女のアパートので録音されたスマートフォンの画面が見えている。
「……全部、録音できていました」
葵が、掠れた声で言った。
「『今すぐ堕ろせ』『汚いガキ』って……あんなに、あんなに昨は優しく笑って、私のを撫でてくれたのに……」
「それが、あの親子の本質よ」
私は淡々と答えた。 同の言葉はかけない。慰めの線も向けない。 ただ、残酷なまでの現実を、つつテーブルのに並べていくだけだ。
「康平は、自分の借の責任をあなたに押し付けた。お義母さんは、佐藤のを守るためにあなたを切り捨てた。……これが、あなたが庭を壊してまでに入れようとした『幸せ』の正体よ」
葵の目から、粒の涙がぽろぽろとテーブルクロスに零れ落ちた。
「私……本当に馬鹿でした……。康平さん、会社ではすごく仕事ができて、優しくて、頼りがいがあって……『妻とはもうえ切っている、おだけが俺の癒しだ』って……。子どもができたって言った、最初は嫌な顔をしたのに、急に『認する、を片付けるから待ってろ』って優しくなって……」
「急に優しくなったのは、私の百万円が入ったを、自分の単独名義にして担保に入れる計画をいついたからよ」
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私はバッグから、弁護士の事務所で作成してもらった類のコピーを取りし、テーブルの央に滑らせた。
「これは、私が裁判所に提する『産仮差押命令申』よ。には受理され、週けにはあのに仮差押えが入る。康平はを担保にを借りることができなくなる」
葵は類を見つめ、怯えたように息を呑んだ。
「そしたら……康平さんは、どうなるんですか?」
「破産よ」
私の声には、片の容赦もなかった。
「借の返済期は今末。担保が作れなければ、まがいの業者から会社に督促がく。当然、懲戒解雇か依願退職に追い込まれるわね。退職なんて借の返済で瞬で消える。あの男に残るのは、無職の肩きと、千百万円の借だけよ」
葵の顔が、絶望に歪んだ。
「そんな……じゃあ、私の……私とお腹の子は……?」
「何もないわ」
私はたく切り捨てた。
「あなたがこのまま泣き寝入りして、康平の言いなりになればね。康平は自己破産し、あなたへの認も養育費も踏み倒して、どこかへ逃げるでしょう。そして私は、あなたに対して貞為の慰謝料として〇万円を請求する。判決がれば、あなたの与や座を差し押さえるわ。あなたに残るのは、絶の傷痕か、あるいは極貧のでで子どもを育てる過酷な活と、私への借だけよ」
「嫌……! そんなの、嫌です……!」
葵はを抱え、さく叫んだ。