"金メダル会見で、私は母の嘘を暴いた" 第10話
ある夜、祖父がテレビを消した。
「もう見なくていい」
「うん」
祖母は私のメダルをに取った。
「いわねえ」
「本物だからね」
「そうじゃなくて」
祖母は笑った。
「ここまでのが入ってるみたい」
私はし照れた。
「おばあちゃん、になった?」
「うるさい」
3で久しぶりに笑った。
その夜、私は父の写真のへメダルを置いた。
「取ったよ」
ずっと言いたかった言葉だった。
「お父さんのおかげでもあるからね」
し考えて付け加えた。
「あとジャイアンツも勝った」
写真の父は笑っていた。
数、いがけない訪問者が来た。
瑞穂さんが練習へ私を呼びした。
「都、会いたいが来てる」
私は構えた。
「今度こそジャイアンツの選?」
「らないけど、何か偉そうなたち」
扉をける。
そこにいたのは、9に京ドームで会った2だった。
私は目を見いた。
「いない、いない……」
兄の男が両を顔のにした。
「それ9もやった!」
「覚えてたか」
「忘れるわけないでしょ!」
弟が笑った。
「久しぶり、都ちゃん」
私はわず子をへめた。
「玲音さん……守さん?」
「名まで覚えてたのか」
「忘れるわけない」
玲音は私の首にがるメダルを見た。
「本当に取ったな」
「言ったでしょう?」
「俺が言ったんだけどな」
「あのは絶対無理だとってた」
「正直だなあ」
守が呆れたように笑った。
そこで私は、9からずっと気になっていたことを聞いた。
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「あのとき誰かが『オーナー』って呼んでたよね」
玲音が元をげた。
「今さら気づいた?」
実は玲音は、若くして複数企業を経営する実業で、数からジャイアンツの球団経営にも関わるにいた。守はの学で経済を学んだ、兄の会社で経営戦略を担当しているという。
私はしばらく2を見た。
「……変な兄弟だとってた」
「今も変だから違ってない」
守が即答した。
玲音は笑った。
「で、都。約束覚えてるか?」
「何?」
「メダル取ったら、次はジャイアンツを優勝させるんだろ」
私は胸を張った。
「もちろん」
玲音はちがった。
「じゃあ、選に入れにくぞ」
「え?」
「ファンの声は力になるんだろ?」
9、自分が私へ言った言葉だった。
私は笑った。
「く」
そののことを細かく話すと、瑞穂さんから「あなたはメダリストなのか野球ファンなのかどっちなの」とまたられるので、しだけにしておく。
私は玲音と守に連れられ、選たちので話す会をもらった。
最初は5分程度の予定だった。
気づけば2経っていた。
「すぎるよ!」
守に止められた。
「まだ半分しか話してない」
「何を2も話したの?」
「今季の打線の改善点と継ぎ運用と――」
「都ちゃん、コーチじゃないんだよ?」
玲音だけは隣で真剣に頷いていた。
「いや、なかなか参考になる」
「兄ちゃんまで乗らないで」
私は久しぶりに腹の底から笑った。
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織の裁判や過の事件については、そのもいがかかった。
私は必なときだけ協力した。
法廷で顔をわせることもあった。
織は度だけ私を見て泣いた。
「都、ごめんなさい」
昔の私なら、その言を何も待っていた。
でも今は、何も起きなかった。
許したわけではない。
憎しみに燃えているわけでもない。
ただ、このはもう私ののではないのだとった。
「私は、お母さんがこれからどうきるかまでは決められない」
私は静かに言った。
「でも、私のへ戻ってくるかどうかは私が決める」
織は泣き続けた。
私は振り返らなかった。
報が落ち着いた頃、ある記者から尋ねられた。
「お母様の事件がなければ歩けていたかもしれない。そう考えると、今でも悔しくありませんか?」
私はし考えた。
悔しくないと言えば嘘になる。
野球をしていた。
自分の脚でった。
父ともっとくキャッチボールをした。
考えたことは何度もある。
「もちろん、事故そのものを良かったとは絶対にいません」
私は答えた。
「私の体を傷つけたことが、結果に私をメダリストにした、なんていう綺麗な話にもしたくないです」
記者が黙って聞いていた。
「でも今のまで嫌いになる必はないとっています」
子陸で会った仲がいる。
瑞穂さんがいる。
祖父母がいる。
玲音と守もいる。
そして、メダルがある。