みかん小説
本棚

"金メダル会見で、私は母の嘘を暴いた" 第8話

位だった会。

初めて表彰台へった会。

も、真も、瑞穂さんに何度もフォームを直された。

度も織はいなかった。

それでも私はここにいる。

図が鳴った。

体がした。

スタート直は隣のレーンの選がわずかにた。

焦らない。

腕を定のリズムで回す。

30メートル。

50メートル。

界の端からの選が消えていく。

音がくなる。

の20メートルで、私は残っていた力をすべて叩き込んだ。

ゴール。

瞬、自分が何位なのか分からなかった。

掲示板を見る。

に、私の名があった。

私は両で顔を覆った。

ようやく涙がた。

観客席では祖父が泣きながら両げている。祖母はその横で顔を覆っており、瑞穂さんまで普段の厳しい顔を崩していた。

織も泣いていた。

でも私は、その涙を見ても何もじなかった。

表彰式が終わると、瑞穂さんがづいてきた。

「おめでとう」

「ありがとう」

「やっと泣いたわね」

「うん」

私はメダルを見た。

そしてすぐ聞いた。

「ところでジャイアンツどうなった?」

瑞穂さんが固まった。

「今それ聞く?」

祖父がろから叫んだ。

「9回に逆転サヨナラ満塁ホームランだ!」

「ええええっ!」

私はメダルを取ったときよりきな声をしてしまった。

「見たかった!」

瑞穂さんが額を押さえた。

「お願いだから、そのテンションの半分でも自分のメダルに使って」

広告

私は悔しかった。

自分の決勝と同刻だったため、で見られなかった。

しかし、その直にもっときな台が待っていた。

優勝者インタビュー。

私はずっと、その所で言いたいことがあった。

最初はジャイアンツへのだけを語るつもりだった。

だが今は、もうつあった。

そして織は、自分がそのインタビューの主役のになると信じ切っていた。

会見へ入ると、像以の数の記者がいた。

国内メディアだけではない。のテレビ局や通信社のカメラまで並び、フラッシュが次々にった。私はメダルを胸にげ、瑞穂さんから「余計なことばかり喋らない」とを押されてから席へ着いた。

最初の質問は予通りだった。

「都選メダルを獲得した今、番このびを伝えたい相は誰ですか?」

私はマイクへ顔をづけた。

「ジャイアンツの皆さんです」

しざわついた。

記者が聞き返す。

「ご族ではなく?」

「もちろん族にもです。でもジャイアンツの皆さん、私はメダル取りました。だから今度は皆さんが――」

瑞穂さんが横から私の肩を叩いた。

「野球の会見じゃないから」

から笑いが起きた。

私は満だったが、仕方なく野球についてはく切りげた。

その、競技についていくつか質問が続いた。

そして司会者が言った。

広告

「今は、お母様にもお越しいただいています」

織ががった。

いベージュのスーツを着て、目元には最初から涙が浮かんでいた。

私の隣へ座る。

カメラが斉に向いた。

「お母様、娘さんが世界になった今のお気持ちは?」

織は涙を拭った。

「本当に……本当に、自の娘です」

声まで震わせていた。

「事故で歩けなくなったときは、娘も私も絶望しました。でも、都と乗り越えてきました。何度くじけても『あなたならできる』と言い続けて、今ようやくその努力が実ったんだといます」

記者席から嘆の声が聞こえた。

脚だったんですね」

「はい」

織は私のへ触れようとした。

私はそっとした。

別の記者が私に尋ねた。

「都選にとって、お母様はどんなですか?」

が静かになった。

私は織を見た。

泣いている。

美しい母娘の物語が完成する瞬だと信じている顔だった。

私はマイクを握った。

「こうして私がこのにいるのは、確かに母のおかげです」

織の顔がるくなった。

「都……」

「9歳のとき、母にベランダから落とされて歩けなくならなければ、私は子陸を始めていませんでしたから」

空気が止まった。

本当に、音が消えたようだった。

織の顔から笑みがなくなった。

記者のがった。

「今、何と?」

私は落ち着いて続けた。

「数かまで、私は事故だったとっていました。でも、母が話で話している内容を偶然聞きました。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: