"金メダル会見で、私は母の嘘を暴いた" 第7話
怖くないから」
ジャイアンツのカードを買ってあげると言われた。
それでも私は怖かった。
次の記憶は、背にが触れる覚だった。
私は突然振り返った。
そこに母の顔があった。
その先がない。
記憶が体の痛みにみ込まれていた。
政への事聴取が続く、織は何もらないまま私の「献な母」を演じ続けていた。
パラリンピック直には、ある番組が私たちの特集を組んだ。
《事故を乗り越えた母娘の18》
タイトルを見た祖父がった。
「9いなかったくせに、18って何だ!」
私はわず笑ってしまった。
「おじいちゃん、そこ?」
「そこもだ!」
本当は笑える話ではなかった。
それでも、祖父がってくれることで救われる部分があった。
番組収録で、織は私の肩へを置いた。
「都は昔から本当に負けず嫌いで、何度転んでもちがる子だったんです」
私はのでった。
ちがらせてくれたのは、あなたじゃない。
父だ。
祖父母だ。
瑞穂さんだ。
競技仲だ。
あの、京ドームで私へ馬鹿みたいな未来を語った兄弟だ。
そして何より、自分自だ。
収録、織が嬉しそうに言った。
「ねえ都。パラリンピックで優勝したら、本をさない?」
「本?」
「『母と娘、奇跡の再』みたいなタイトルで。版社にりいがいるの」
私は笑顔で答えた。
「考えておく」
織は完全に信じていた。
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私がもう度、自分の娘に戻ったと。
そんな、競技最の事聴取で、政の証言が崩れた。
織から「娘に額な保険をかけた」と聞かされていたこと。
事故のに部へいたこと。
織が私をベランダへ連れしたこと。
そして転落、織から「予定と違ったけど、きていても保険はる」と言われたこと。
政自も保険の部を受け取ったことを認め始めた。
ただし、私を直接押したのは織だと主張した。
捜査は続いていた。
私は会にそれ以詳しいことを聞くのをやめた。
「今は競技に集してください」
担当者にもそう言われた。
私も同じ気持ちだった。
メダルは、母を追い詰めるために取るものではない。
9歳の私が失ったものとは別に、18歳の私が自分でに入れようとしているものだ。
会、私は父の墓へった。
祖父母にはでしれたところに待ってもらった。
墓にメダルを持ってくる約束をしたかった。
「お父さん」
私はをわせた。
「私、るよ」
がの葉を揺らした。
「お母さんのこと、たぶんもうすぐ全部分かる」
声がし震えた。
「でも、それとは関係なく勝ちたい」
しばらく黙ってから付け加えた。
「あとジャイアンツにも優勝してもらわないと困る」
父ならきっと笑ったとう。
決勝当の朝、私は驚くほど落ち着いていた。
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選から会へ向かう内でも緊張はなく、むしろ気になっていたのは同じ帯に始まるジャイアンツの試だった。瑞穂さんに見つからないよう型ラジオとイヤホンをバッグへ忍ばせていたが、ウォームアップにあっさり発見された。
「都」
「何?」
「そののコードは何?」
「精神統用の音楽」
「貸して」
「嫌」
瑞穂さんは無言でイヤホンを奪った。
ラジオから実況が流れていた。
『4回表、ジャイアンツは現2点を追う展――』
瑞穂さんの眉に皺が寄った。
「あなた、あと1もしないうちにパラリンピックの決勝なのよ?」
「だからをえてる」
「ジャイアンツが負けて乱れてるじゃない!」
その通りだった。
私は速報を見るたび顔をしかめていた。
「ちょっと京ドームって声援送ってきていい?」
「駄目に決まってるでしょう!」
「会、京なんだからにうかも」
「にっても戻ってこられない!」
瑞穂さんはラジオを没収した。
私は本気で落ち込んだ。
「はもっとさいの買おう」
「今の反省点を今決めるな!」
くだらないやり取りのおかげで、緊張する暇がなくなった。
スタートラインへ向かう直、観客席を見る。
祖父と祖母がいた。
そのしれた席には織もいた。
胸ので両をわせ、カメラが向くたびに涙を拭いている。
もう気にならなかった。
私は正面を見た。
ここまでってきたをいした。
初めて競技用子に乗った。
100メートルで息ががり、腕が震えた。