"金メダル会見で、私は母の嘘を暴いた" 第4話
だ。
本当に、そうった。
母の織は、私の記憶よりずっと痩せていた。髪は肩まで伸び、化粧も濃くなっている。それでも目元の形や笑ったときの元には、幼い頃の記憶が残っていた。
「都……」
織は私を見るなり涙を浮かべた。
「きくなったわね」
私は何も答えなかった。
「ずっと会いたかったの」
「だったら、どうして9来なかったの?」
織の表が固まった。
瑞穂さんはしれた所にいてくれたが、私がで図するとさらに距を取った。
「私ね、あなたが事故に遭ったことが本当にショックだったの。私がちょっと目をしたせいで、あなたがベランダから落ちてしまって……」
織はハンカチを目元へ当てた。
「自分を責め続けたの。あなたの顔を見るたびに、私のせいだとって苦しくなって。それで逃げてしまった」
「お父さんは?」
「え?」
「お父さんはで私の世話をしてた。お母さんが逃げたも」
織は俯いた。
「それは……本当に申し訳なかったとってる」
私は議なくらい静だった。
ずっと会いたかったはずの母だった。
学3の私は、病院のベッドで毎晩「はお母さんが来るかもしれない」と待っていた。誕になれば連絡があるかもしれない、クリスマスなら帰ってくるかもしれないとっていた。
でも9というはかった。
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期待することを諦めたに現れたを、突然母親としてせるほど私は器用ではなかった。
「それで、今は何をしに来たの?」
「テレビで都を見たの」
織は顔をげた。
「あなたが陸で頑張ってるってって、今度こそちゃんと謝らなきゃとった」
「謝ったね」
「え?」
「じゃあ、もういい?」
織の顔が曇った。
「都……」
「私はこれから練習だから」
私は子の向きを変えた。
「別にんでない。でも、仲良くするつもりもない。私にとって親は、お父さんとおじいちゃんとおばあちゃんだから」
織は泣きそうな顔をした。
「また来てもいい?」
「できれば来ないで」
そう言って私は練習へ戻った。
けれど、10分ほどしてから嫌な予がした。
筒を忘れたことに気づき、入へ戻ったのだ。
駐のくで織が誰かと話をしていた。
私は声をかけようとして、ならぬを止めた。
「うん、ダメそう」
織の声だった。
「かなり私のこと嫌ってるみたい」
相の声は聞こえない。
織は周囲を確認してから、し声を落とした。
「でも、テレビにも始めてるでしょう? 顔も悪くないし、障がいを乗り越えた母娘って形なら広告にも使いやすいとうのよ」
私は息を止めた。
「私が母親としてれば話題になるじゃない。CMだって講演だって取れるわよ。パラリンピックでメダルなんか取ったらもっときい」
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話の相が何か言ったらしい。
織が笑った。
「丈夫よ。優しくしてれば、そのうち『お母さん』って戻ってくるって」
体の奥がたくなった。
やっぱりそうだった。
謝罪のためではない。
私が名になり始めたから戻ってきたのだ。
私はそのかられようとした。
しかし次の言葉を聞いてけなくなった。
「それに、あの子、覚えてないみたいなの」
しが空いた。
「ベランダのことよ」
臓がく打った。
織の声がさらにくなる。
「私が押したこと」
ので何かが弾けた。
断片だった記憶が、気に押し寄せた。
ベランダ。
母。
らない男。
ジャイアンツの選カード。
「もうしへって」
母の声。
「できたら買ってあげるから」
怖くて振り返る私。
そして背に触れた。
私は両で子のリムを握った。
呼吸ができなかった。
話の向こうの男が何か言ったらしい。
織は笑っていた。
「政だって今さら何も言わないわよ。あのも共犯なんだから」
私は震える指でスマートフォンを取りした。
録音ボタンを押した。
そのの夜、私は祖父母へすべて話した。
祖父は最まで黙って聞いていたが、織が「自分が押した」と話で話した部分を再した瞬、顔が真っ赤になった。普段ほとんど鳴ることのないがちがり、「今すぐ警察へく」と言ったほどだった。
「待って」
私は祖父を止めた。
「どうしてだ!」
「これだけじゃりないかもしれない」
祖母も涙を流しながら私の肩へを置いた。