"嫁の「逃げて」で暴かれた妻の計画" 第10話
それでも、目のに本たちを置いて見ると、3信じてきたものが崩れていく音が聞こえるようだった。
「私に何か言うことはないか」
い沈黙のあと、美佐がをいた。
「昔、し付きっていただけよ」
「20以からっていたが、どうして私ので初対面のふりをした?」
「それは……あなたが変に疑うとったから」
「何を疑う?」
答えはなかった。
私は最に鞄へを入れた。
命保険の証券。
それを取りしただけは、指がし震えた。
「おが欲しかったのは、本当にビルだけか?」
美佐の肩がいた。
私はをテーブルへ置いた。
「私名義の命保険だ。私はこんなものに申し込んだ覚えがない」
也も初めて詳しい内容を見たようで、息を呑んだ。
「しかも受取は美佐、おになっている」
美佐の顔から血の気が引いた。
私はい声で続けた。
「私を奥の施設へ入れる。実印を使って財産をかす。そのうえ、私の名で命保険まで契約する」
あののい錠剤がに浮かんだ。
「ので、おは私に何をませようとした?」
「ただの酔い止めよ」
「今さら信じられるとうか」
それまで黙っていた浩が、突然美佐を指さした。
「これは全部この女がやったことだ!」
美佐が顔をげた。
「何ですって?」
「俺は産の相談を頼まれただけだ。施設も保険も、こいつが勝にやった!」
広告
「よく言うわね!」
美佐の声が初めて荒れた。
「借を返したいから、あのじいさんの財産をく処分しようって言ったのはお兄ちゃんでしょう!」
私は黙って聞いていた。
桜の携帯話はすべて録音している。
「命保険だって、お兄ちゃんが《施設へ入れたあと何があるか分からないから準備しておけ》って言ったんじゃない!」
「薬を用したのはおだろ!」
「お兄ちゃんがに入れたんじゃない!」
は互いを守るどころか、競うように責任を押しつけ始めた。
20以続いたという関係が、たった数分で崩れていった。
その、障子が再びいた。
待していた弁護士が入ってきた。
「お話は記録されています」
が凍りつく。
弁護士は類を確認しながら、実印の無断使用や本の同のない財産処分の計画にはな法問題があり得ること、施設への入所続きや保険契約も含めて警察へ資料を提する予定であることを淡々と告げた。
「先ほどおが話された内容についても、必に応じて確認されることになるでしょう」
美佐のから力が抜けた。
浩は壁際の子へ座り込んだ。
私はゆっくりちがった。
「美佐」
彼女が顔をげた。
「私がおに望んだのは、晩にで静かに暮らすことだけだった」
声が震えそうになるのをこらえた。
「おが本当に私のそばにいてくれるだったなら、建物だってだって、いつか残してやってもいいとっていた」
広告
美佐の目に涙が浮かんだ。
それが本物なのか、私はもう判断できなかった。
「なのに、おは私のより先に財産を取りに来た」
私はそれ以何も言わなかった。
也と桜が両側へ来た。
3で部をる。
背では、美佐と浩が再び互いを責める声が聞こえていた。
たい夜が頬へ当たった。
サービスエリアで逃げたあの以来、ずっと胸のに乗っていたいものが、ようやくしだけいた気がした。
その、警察へこれまでの資料を提した。
施設への申込、実印と委任状の写真、産会社の証言、浩の借に関する資料、美佐と浩の会話、そして料理でが互いの関与を認めるような発言をした録音も提した。
私へ渡そうとしたい錠剤についても調べられた。
幸い、美佐が旅鞄に入れていた同じ袋が残っており、警察へ渡すことができた。詳しい捜査の内容をすべて私がったわけではないが、なくとも美佐が説していた単純な酔い止めとは異なる薬だったと聞かされた。
あのんでいればどうなっていたのか。
今でも考えたくない。
命保険についても、私が自分で署名したものではないことを説し、契約に至った経緯が調べられた。
美佐と浩には、財産処分をめぐる為や類の扱いなどについて捜査がめられた。
最終な法判断は捜査関や裁判所に委ねられることになったが、なくともが私の財産を自由に扱うことはもうできなかった。