"嫁の「逃げて」で暴かれた妻の計画" 第5話
「先週、義母と緒にった保護者の方って、夫の也で違いないでしょうか?」
職員は確認してから答えた。
「いえ、ご子息ではなかったといます。奥様は《お兄ちゃん》と紹介されていましたね」
通話を切ったあと、部の空気がく沈んだ。
お兄ちゃん。
佐藤浩。
私はその名を何度もので繰り返した。
そして、ようやくの男の顔が浮かんだ。
「……当たりがある」
が私を見る。
「美佐を私に紹介した男だ」
数、元の登サークルでりった男だった。
名は佐藤浩。
さな会社を経営していると聞いていた。当たりがよく、私が先妻をくしてでいることをると、「い親戚にとても気てのいい女性がいる」と美佐を紹介してくれた。
最初の事の席では丁寧に敬語を使い、久しぶりに会った親戚のような態度を取っていた。
それからも浩はに何度かへ顔をした。
私には「美佐さんをよろしくお願いします」とをげ、美佐には儀に接していた。
「でも、お兄ちゃんと呼ぶような関係じゃなかった」
私が言うと、桜の表が険しくなった。
「本当に親戚なんでしょうか」
也がすぐに調べ始めた。
そののうちに分かったのは、浩の会社が数に事実倒産していることだった。複数の借を抱え、支払いをめぐる裁判汰もあった。
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さらに翌。
桜から話が来た。
「お義父さん。もっと嫌なことが分かりました」
「何だ」
「浩という、お義父さんのテナントビルのくの産会社を何軒も回っています」
私は子からちがれなくなった。
先妻とで働きながらに入れた、さなテナントビルがある。決して富豪ではないが、その建物といくつかの賃貸物件が老の活を支えていた。
「まだお義父さん名義なのに、《急いで売却したい》《くても構わない》と相談していたそうです」
「どうやって売るんだ」
「実印と類さえ揃えば何とかなる、と話していたそうです」
実印。
私はわずちがった。
の斎。
引きしの奥。
そこへ入れてある。
「父さん、へ戻るな」
也が言った。
しかし私は首を横に振った。
「戻る」
が同に私を見た。
「正気か?」
「ここまで分かった以、向こうが何を持っているのか確かめなきゃならない」
桜はく反対した。
「危険です。薬まで使おうとしたですよ」
「だからこそ、何もらないとわせる」
私は自分でも驚くほど静かな声で言った。
「美佐は今、私が逃げたことで焦っている。だが、私が物忘れを起こして勝に迷っただけだとわせれば、まだ計画を続けるはずだ」
しばらく誰も話さなかった。
やがて桜が私のを握った。
「分かりました。ただし、朝と夜に必ず連絡してください。
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位置報も共してください。度でも連絡が途切れたら、私たちがすぐきます」
血のつながっていない嫁のが、議なほど温かかった。
私はそのの夕方、自分のへ戻った。
玄関のインターホンを押すと、ドアをけた美佐は目を見いた。
「あなた!」
次の瞬には私の腕へしがみついた。
「どこへっていたの。どれだけ配したとってるのよ」
私は力なく笑った。
あらかじめ考えておいた話をにした。
「ひどい目にあったよ。サービスエリアのトイレで腹が痛くなって、そのうちまでぼんやりしてきてね」
美佐の目を見ながら続けた。
「携帯まで落としてしまって、しばらく源が入らなくなった。へたらばかりで、も見つけられなくなってね」
「まあ……」
「おに話しようとったんだけど、困ったことに番号がいせなくて」
そのだった。
美佐の元に、ごくさな笑みが浮かんだ。
ほんの瞬だった。
すぐに配そうな顔へ戻ったが、私は見逃さなかった。
夫が妻の話番号さえいせなくなった。
美佐が作りげようとしている《認症の夫》にとって、これほど都のいい話はない。
「それでくの旅館に泊まったんだ。朝になって携帯がいたから也へ連絡して、送ってもらった」
「本当に丈夫?」
美佐は温かいおしぼりを持ってきて、私の顔を拭いた。
「最こういうことが増えてるでしょう。やっぱり度ちゃんと病院へきましょう」