"680億円の取引を救った秘密の多言語" 第6話
特に「通訳なんてAIにやらせればいい」「おらこんな額なギャラをもらってんのに仕事してるふりばかりだ」「英語で話せばなんとかなるだろう」といった発言に対し、々はく抗議する。々は文化と性を軽んじるこの企業の姿勢にく失望した。発注者側との信頼関係はもはや微も成しないと判断し、々通訳チームは全員、即座に撤退する』
そのメールの内容が読みげられた瞬、会には氷点のたい沈黙が落ちた。
「これが本当なら……事よ。私から改めて、先方にお詫びを……」
「おいおい、ちょっと待てよ! 別に俺はそこまで失礼なこと言った覚えはねえだろ!」
「部、黙ってください! 今更そんな見苦しい取り繕いをしても無駄です!」
織の声が、会議に鋭く響き渡った。普段は物静かで理な彼女が、これほどまでに剥きしのりを表しているのは初めてだった。
だが、鬼は気に肩をすくめ、でフンと笑った。
「しかたねえだろ。通訳がいねえなら、みんな英語でやればいいだけの話だろ! 向こうだってビジネスで来てんだし、なんとなくは通じるさ」
「違います! 今回の取引相は、自分たちの文化と伝統を何よりも切にしている文化団体です! 彼らにとって母国語でしっかりと話すことは、お互いへの最の敬と誠の証なんですそれを『英語でいいだろう』なんて軽したら、取引の成約どころか、会社としての信頼そのものを完全に失いますよ!」
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「はっ、そんなのったこっちゃねえよ! おれは疎通ができればそれでいいとってるんでね。文化だの伝統だの、そんな抽象なものに百億のビジネスがされるわけねえだろうが!」
周囲の空気が、さらに気にギスギスと凍りついた。誰もが鬼の暴言に呆れ、何も言葉を返せなかった。
そして、無にも約束のがやってきてしまった。
通訳が完全にのまま、運命の最終交渉が始される。会議のな扉が音もなく静かにいた。
フランス、イタリア、チェコ、ギリシャなど、欧州各国から駆けつけた美術財団の鎮や代表者たちが、々しい取りで席に着く。張り詰めた緊張が、ピリピリと空気を刺すように伝わってくる。
「皆様、本はお越しいただき誠にありがとうございます。それでは、最終契約の条件についての協議をめてまいりましょう」
鬼が、たどたどしくい英語で代表たちに話しかける。
だが、誰の顔にも笑顔はなかった。織も懸命に各国の担当者にわせて自分がっている限りの言語で話そうと試みるが、語彙力の限界がすぐに呈した。
「あ、その……所権の移転に関する件ですが、その、えっと……」
会議の々が眉をひそめる。フランス代表の女性は、こめかみにそっとを当て、さく失望したように首を振った。
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フランス代表のブランシェ氏が、く、しかし確なフランス語の調でをいた。
「昨の優秀な通訳の方々は、いったいどうされたのですか?」
「あ、あいつらなら、勝に仕事を投げしてどこかへ消ちちまいましたよ! ビジネスのには、余計な通訳を挟まず英語だけで分と考えます。本は英語のみで交渉をめさせていただきます」
鬼が、何の反省もなく堂々とそう言い放った、まさにその直だった。
「――侮辱だ。あなた方は、々の文化に対するをまるで理解していない。私たちはただの商業なビジネスマンではなく、文化の継承者なのだ。まれ育った国の文化、芸術、そして母国語にい誇りを持っている。だからこそ昨、母国の言葉でお互いに語りえたことが嬉しかったんだ。今のこの無様な対応は、極めて遺憾であり、非常に残だ」
「えっ、その……待ってください!」
このままではすべてが泡に帰してしまう。織は必に言葉を探し、線を泳がせ、資料をめくって声をそうとしたが、あまりのプレッシャーにその声は細かく震え、のある形にならなかった。
「あ、あの……!」
気づくと、私は自分のとは無関係に、子からちがっていた。
「あの……僕が、通訳します」
瞬、会議のがピタリと止まったような異様な静寂が訪れた。