"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第22話
あのが線を引いて消した箇所は抵私も同じところでつまずいた。同じところでつまずくたびに、あのが机に向かって首をひねっている姿が浮かんだ。
業者さんに見ていってもらったのはの半ばだ。きよこさんが紹介してくれた元の務のだった。くらいの数のないだ。そのはのを半かけて見て回った。を覗いて井裏を覗いて、厨のシンクのをいこと覗いていた。
見積もりがたのはその週だった。
「百万円」
私は数字を回見た。優馬が残していた見積もりは百万円だった。の付のものだ。私は務のに話をした。
「まあそうでしょうな。の見積もりはあくまでの見積もりです」
理由はつあると言われた。
つは湯と排の配管だ。使ってきたもので、今換えないと数でやり直しになる。
つは洗いだ。数から決まりが変わっていて、を洗ったに蛇をひねり直さなくていい形にしなければならない。レバー式か自のものだ。あののノートにも「これは決まりらしい」といてあった。
もうつは換気だ。
「1で材料の値段も随分がりましたしね。削れるところはありますよ。は触らん でいい。あれは反ってるだけで抜けてはおらんです」
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その言に私は救われた。
に帰って、私はに数字をいた。元にあるのは百万円だ。あの座の百万円と遺贈された百万円。そこからの代の残りを払う。の値段は百万円だ。あのが付けとして万円を払っている。だから私が払うのは百万円になる。
百万円と改装の百万円を引くと、百万円が残る。そこにと備品がいる。カップも皿も子もレジも蔵庫もいる。ののものはほとんど使えるけれど、それでも万円ほどはかかると見積もられていた。残りは百万円になる。
私は卓を叩いて井を見た。百万円でが軌に乗るまで持つだろうか。賃はない。も建物も自分のものになる。それでも豆は毎仕入れる。気代がかかる。代がかかる。私の活費もそこからる。客がすぐに来るとはえなかった。駅から分のシャッターの増えた商の番奥だ。
私はかけて何度も計算し直した。何度やっても答えは同じだった。百万円では半持つかどうかだ。半で客がつかなければ、私はあのがかけて積んだものを半で溶かすことになる。
そうった瞬にが止まった。
その晩、私は母に話をした。自分から母にかけるのは婚を伝えた以来だった。
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母は回目のコールでた。
「はい」
「みつきかい?」
「うん」
そこから先が続かなかった。母は何も聞かずに待っていた。受話器の向こうでテレビの音がさくなるのが分かった。母がリモコンを探して音をげたのだ。
私は泣きながら全部話した。婚したのこと、カードを使わなかったこと、で言われたこと、あのがんでいたこと、毎のこと、鶴巻き町ののこと。母は最までを挟まなかった。話し終えて私はをすすった。
「私、分無理だとう。おがりないの。りないのに、やりたいって言っちゃったの」
母はしばらく黙っていた。それからこう言った。
「みつき、あんたそのに度も『ありがとう』って言ってないだろう」
「え……」
「ったんだろ? 勝だって」
「うん、っていいよ。母さんもってる。でもね、ったままやめるのと、りながらやるのととは違うことだよ」
私は受話器を握ったまま声をせずにいた。
「うちにね、父さんの保険がし残ってる」
「いらない。まだ何も言ってないよ」
「いらない、本当に」
「そうかい」
母は無理に押してこなかった。母の歯は昔からそうだ。差しすだけ差しして、「いらない」と言われたら引っ込める。引っ込めてまた同じ所に置いておく。
「じゃあつだけ。けるが決まったら教えなさい。私はくからね」
「うん」
「くって言ったらくよ。幹線に乗るから」
母がその言い方をしたのは、私がる限り度目だった。