"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第17話
《窓のところにの席。のに来たには温かい牛乳を。誰かがもう度歩きせるにしたい。泣きたいにで来られる》
忘れていたのは私の方だった。そのは忘れていなかった。
その、私は受け取るとも受け取らないとも言わないままをた。ただ、名と所を変えるだけはいて渡した。それで座の制限はれた。宮原さんは玄関のまでってをげた。佐々さんは「いつでもお越しください」と言った。返事の期限のようなものは言も言われなかった。
帰り際に佐々さんがさなを枚くれた。鶴巻町のの所と話番号がいてあった。そのに「田島きよ子」という名があった。
「おのの主の方です。ご主がおくなりになってからも、あの方はおをどこへもおしになっていません」
「1も……?」
「はい。度お会いになってからお決めになっては、いかがでしょうか」
はもう夕方だった。の終わりのはたくて、のとの温度差で目の奥が痛くなった。私はコートの襟をてて歩いた。カバンのに便箋枚ときな封筒と、透な袋に入った学ノートの写しとあの古いカードが入っていた。来たと同じを、私は全く違う気持ちで帰った。
の、私はほとんど何もしなかった。
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部の卓のに便箋を置いて、朝と夜に読んだ。読むたびに違うところで泣いた。から帰ったはの終わりで泣いて、その次のはりきので泣いて、その次のは細のという数字の並びで泣いた。
べるものはうどんとうどんだった。米は買った。をたにコンビニの現の械で万円だけろしたのだ。ろす、私は暗証番号を打ち込んだ。「0427」。ぶりにそのつを指で押した。あっけなくほど簡単に画面が変わった。あのから、私が何と戦っていたのか分からなくなるくらい簡単だった。てきた万円札を財布に入れて、私はしばらくそのにっていた。
をてが過ぎた夜に、私はさやかさんに話をした。用事があったわけではない。誰かの声が聞きたかった。さやかさんは夜勤ので控にいると言った。
「ごめんね、忙しいのに」
「いや、全然です。てか、珍しいですね」
「うん。何かありましたか?」
私はし考えてこう言った。
「元の旦がくなってたのが分かったの」
話の向こうでさやかさんが息を吸う音がした。
「え……待って。丈夫ですか?」
「丈夫じゃないよね」
さやかさんはそれから何も言わなかった。何も言わないまま話を切らなかった。ロッカーの扉が閉まる音とか、くで誰かが笑う音とかがずっと聞こえていた。
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分くらいそうしていて、さやかさんが言った。
「あの……でもでも、きたいところあったらってください。私、ついてくだけならできるんで」
「ついてくだけ?」
「はい。喋らないでいるの得なんで」
私は笑った。この週で初めて声をして笑った。
その晩、私はカバンに図を入れて、翌朝ののを調べた。翌はでった。さやかさんの言葉は嬉しかったけれど、あのには最初はでかなければならない気がしたのだ。
鶴巻町まではを回乗り換えて分だった。りたのはったよりずっとさい駅だった。改札はつしかない。駅にタクシーが台だけ止まっていて、運転さんが聞を読んでいた。
にいてある所を頼りに歩いた。商はったよりかった。の方はがいている。百があって、豆腐があって、があって、それを過ぎるとだんだんシャッターが増えてくる。通りも減る。
歩いて分ほどで、私はを止めた。古いがあった。の枠のガラス戸で、にさな庇がている。庇のに横の板がかかっていて、い字での名がいてあった。
《か》
字はところどころ剥がれていた。ガラス戸の内側にレースのカーテンがかかっていて、はよく見えない。それでもりがついているのは分かった。
私はったまましばらくそのを見ていた。窓はに面してきく取ってあった。