"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第16話
この役目を遺言執者と申します」
私は類を見ていた。何といてあるのかはに入ってこなかった。
「遺言には、瀬みつき様へ財産を遺贈する旨がかれております。遺贈というのは、相続ではない方へ財産を渡す方法です。婚をされた元の配偶者の方は、法律は相続になりません。ですから遺言がなければ、私どもは円もお渡しすることができません」
「あのは、それをっていて……」
「ご相談にいらしたに、その点を最初に確認されました」
私は目を閉じた。あのが公証役という所にって、らないので私の名を言うところを像した。うまく話せなかったに違いない。
「遺贈の内容はつでございます。つは、瀬様ご自の預、万円。もうつは……」
宮原さんは類のから茶い封筒をもうつした。さっきのよりきい、角の封筒だった。
「鶴巻町にございます、ある舗の売買契約における飼い主としてのおです」
「舗……?」
佐々さんが封筒のをけてを机に並べた。
「図面の資料が枚、取りの図面が件、修繕の見積もりが枚、売買契約の写しが枚。付はので、飼い主の欄に瀬優馬と署名がありました。付け万円を支払った領収が挟んでありました」
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そして番に、いが枚あった。罫線のないメモ用に、あのの字でいくつかの言葉が縦に並べていてあった。線を引いて消したものもある。き直した跡がいくつもある。の名の候補だった。
《みつき。朝倉コーヒー。窓辺、》
その番に、丸で囲んであったつがあった。
《喫茶 0427》
私はそのを持ちげて、目のさで見た。丸はに引いてあった。度引いて、そのからもう度なぞってある。私は声をさずに泣いた。
私はを置いて、佐々さんに聞いた。
「どうして、1も待ってくれたんですか? 普通なら、どこかで諦めるとうんです」
佐々さんは膝のでを揃えた。しばらく何かを考えてからこう言った。
「私で恐縮ですが……に主をくしました」
私は顔をあげた。
「くなった、続きで役所の窓を回りました。にもきました。当ではないところです。そこでの続きは何つ違っていませんでした。類の備を教えていただいて、ハンコをもらって、『また来てください』と言われてその通りにしました。ただ、その誰も私の主の名をにさなかったんです」
佐々さんはそこで度言葉を切った。
「座番号は何度も読みげられました。『名義』という言葉も聞きました。でも、あのの名は度も……」
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「帰りにったんです。私は今類を枚も違えなかったのに、どうしてこんなに寂しいんだろうと」
私は何も言わなかった。
「それからです。窓の向こうにがいるということを忘れないようにしようと決めました」
「ご主様がこちらへいらしたのは昨のです。窓で私が受け承わりました。そのにこう言われました。『もしこのが来たら、奥様と呼んでやってください』と」
「あのが……?」
「随分迷ったような言い方でした。それで私は伺いました。『奥様とお呼びしてよろしいのですか』と。ご主様はしばらく黙ってから、こうおっしゃいました。
『俺のでは、まだそうなので』と」
私はを抑えた。その言を言うのに、あのがどれどれだけをかけたか、私には像がついた。
「ですから、待つことは仕事ではありませんでした。約束でした」
その、佐々さんが最につ、透な袋をした。に入っていたのは、古い学ノートだった。
「これ、ご主様がお持ちくださったものの写しです。原本のおの方にあると伺っております」
表に何もいていないノート。あの押入れの奥から消えていたダンボールのだ。私はそれをいた。代の私の字から始まっていた。丸くて勢いだけがあってな字だった。ページがむにつれて字は落ち着いていき、ろの方はつい何かの私の字になっていた。
そこにいてあることを、私は自分でもほとんど忘れていた。