みかん小説
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"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第14話

湯の温度をげすぎるな。に台所で言っていた》

私はそのを何度も読んだ。台所でそんなことを言った覚えは私にはない。分言ったのだろう。豆を引きながら独り言のように。そしてあのは、湯呑みでコーヒーをみながら「うん、うまい」としか言わずにそれを覚えていた。

を言わないだと私はっていた。違った。あのを言わない代わりに、全部覚えて帰るだった。

読み終えて、私はしばらくを見ていた。字が滲んでいた。私の涙が落ちたのだと気づくのにがかかった。私は便箋を机に置いて、両を押えた。声がないようにするためだ。それでも喉の音から声がた。犬が泣くようなみっともない音だった。

佐々さんが横に来て、私の背を置いた。私は泣きながらめちゃくちゃなことを言った。

「勝だよ……こんなの、で決めることじゃないでしょう。を返すなら……返すなら、緒に応援してよ。婚しなくてよかったじゃない。話してくれれば、、私が何を考えてきてきたとってるの?」

言いながら、これはりなのかしみなのか自分でも分からなかった。分両方だった。あのは優しかった。それは違いない。でも違えていた。私を事にするために私を捨てるという理屈は、どう考えても違っている。

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あのはそれをの部で何度も考えて、最まで誰にも相談しなかった。相談する相がいなかったのではない。目の緒にいたがいたのに、それを「相」だとわなかったのだ。

私はそれが悔しかった。番悔しいのは、その違いを本に言えないことだった。

何度も読み返したのは、「そのうち会いにく」といてあるだった。「そのうち」という言葉があるということは、あのはまだ「終わり」だとっていなかったということだ。のあのはいつか玄関のチャイムを鳴らして、「何と言えばいいのか分からない顔」でっているつもりだったのだ。私はその面も勝像した。

私はきっとドアをけて、あのの顔を見て、それから――泣いただろう。「何しに来たの」と言っただろう。あのは黙ってたって、「そのうち……悪い」と言っただろう。そのやり取りがこの世のどこにも起きなかった。

鳴りたかった。胸ぐらをつかんで、「バカじゃないの」と言いたかった。その分、抱きついて泣いたとう。そのどれも、もうできない。

洗面所の球のことを、私はそのした。婚のの朝に、あのは「切れかけている」と言った。私は「買っておくね」と答えて買わなかった。荷物を取りに戻った球はしいものに変わっていた。

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あんなさなことを、あのは自分でやって、何も言わないままいなくなった。私はそれが悔しくて、また泣いた。

私は机に突っ伏して、しばらくそのままでいた。宮原さんは子を引いてがると、部の隅へって窓のカーテンを直した。私に背を向けるためだったのだとう。宮原さんはそういう気の使いかたをするだった。

泣き止んだのは、分くらいだ。私は顔をあげて、をかんで、それから机のの便箋を揃えた。揃えながら、指がまだ震えていた。

「すみません……」

「とんでもございません」

あの、私は言った。「このおは受け取れません」

佐々さんが顔をあげた。

「だって、おかしいでしょ。私はもうです。婚したんです。あの内でもない。それに、私は……」

私は自分の膝を見た。「私はあのんでいました。んでいた相のおをやるなんて、そんな都のいいことはできません」

言い終わってから、自分でも分かっていた。これは筋の話ではない。ただ怖いのだ。受け取ってしまえばあのを許すことになる。許してしまえば、の自分が丸ごと無駄になる気がした。

佐々さんはしばらく黙っていた。それからこう言った。

「奥様、もうしだけお聞きいただけますでしょうか。ご主様がここへ何をお預かりになったのか、まだ半分もお話ししておりません」

佐々さんは旦部った。戻ってきたには細を持っていた。

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