"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第12話
私はその声を振り払うようにして息を吸った。私は息を吸って、それから言った。
「0427です」
佐々さんは目を閉じた。閉じたまま、さく頷いた。
「違いございません」
そして、机のから茶い封筒をした。角の潰れた古い封筒だった。表に黒いペンで字がいてある。その字を見た瞬、私の目の奥がくなった。丸みのない、しに倒れるき方。ハの縦棒がすぎる癖。私がのの買い物のメモで、置きで何度も見てきた字だった。
そこにはこういてあった。
《0427を覚えていてくれたか、みつき》
私はその封筒にを伸ばした。伸ばして、途で止めた。指が言うことを聞かなかった。その、別の扉がいた。入ってきたのは、髪をきれいに分けた配の男のだった。私を見て、部の入りでくをげた。
「支の宮原と申します」
宮原さんは佐々さんの隣に座った。座るに着のボタンをさなかった。になってえば、宮原さんはずっと姿勢を崩さないでいてくれたのだ。
「瀬様、先にお伝えしなければならないことがございます」
私は封筒から目をせずにいた。
「順番が逆になりますと、この先のご説が全てを失いますので――」
その言い方で私は分かってしまった。分かったのにが理解を拒んだ。私は封筒を見たまま、「聞いていません」
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という顔をした。子供がするような顔だったとう。
宮原さんは静かに言った。
「瀬優馬様は、昨のに事故でおくなりになりました」
部のの音が消えた。をが通った音が、随分くから聞こえた。
私はをけたまま宮原さんの顔を見ていた。このは嘘をつくではない。それだけが分かって、あとは何もわからなかった。
「のでございます」
の。私はそのに何をしていただろうとった。夜のビルのを拭いていた。のコートをした。うどんも茹でた。母からの話にて、「変わりないよ」と答えた。あのがこの世からいなくなったに、私はそういうことをしていた。
「そんなって……私……」
言葉が続かなかった。私はずっとんでいた。忘れようとして忘れられなくて。それでものどこかでは、あのはどこかできているとっていた。きていて、いつかでばったり会って、そのには何か言ってやろうとっていた。言ってやろうとっていた言葉のき先が、その言で全部なくなった。
私は子に座ったまま、両で顔を覆った。どれくらいそうしていたのか分からない。顔をあげたとき、机のにのコップが置かれていた。はだった。佐々さんが置いてくれたのだとう。置いた音も聞こえなかった。
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宮原さんも佐々さんも何も言わずに待っていた。せかす言葉も慰める言葉もなかった。ただ待っていた。私はそのことにになってから救われる。
私はをんだ。たさで喉がいた。
「どこで?」
「県の交差点だと伺っております。詳しいことは、私どもよりもほど別の方から直接お聞きいただくのがよろしいかとじます」
宮原さんはそう言って、それ以は言わなかった。っていることを全部そので並べないだった。
私はもうつ聞かなければならないことがあった。
「どうして……どうして誰も私にらせてくれなかったんですか?」
聞きながら、自分の声が責める声になっているのが分かった。このたちに向ける言葉ではない。それでも止められなかった。
宮原さんは背筋を伸ばしたまま答えた。
「私どもは昨のから、瀬様のご所をお探ししておりました。おをご登録のご所へ回お送りしております。回とも宛先で戻ってまいりました。その、戸籍の附票を取り寄せました。附票と申しますのは、民票を移した先が古い順にきされていく役所の記録です。縦の町のご所はそれで分かりました。通目からはそちらへお送りしております。ただ、宛名のご名義は瀬みつき様でございました。
あの、郵便受けにていたのは朝倉様のお名だったはずです。それ以のことはいたしませんでした。