"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第10話
査定は分ほどかかった。呼ばれてカウンターへくと、員さんが卓の画面をこちらに向けた。
「全部で千百円になります」
「はい」
ダンボールつ分の過が千百円だった。私は頷いて袋に入った銭を受け取った。
その、カバンのにはもうつ入れてきたものがあった。回しのコーヒーミルだ。の胴に鉄のハンドルがついた古い形のもの。古で買われたものだからした値はつかないだろうとっていた。それでも千円にはなるかもしれない。千円あれば米がキロ買える。私はカウンターのでカバンにを入れて、ハンドルの部分を握った。握ったままけなくなった。
私が黙っているので員さんが顔をげた。
「にもございますか?」
「いえ……」
私はを抜いた。にて、私は自分に腹をてた。米より事なものがにあるみたいな顔をして、その米が買えていないのは私だ。それでもあれを売ることだけはできなかった。カードを使わないでいたと、あれを売れない気持ちは、分同じところからていた。
管理会社からの話が回あった。回目はられなかった。られなかったというのは、正確に言えば「なかった」ということだ。
米が切れた。キロ買うと千円くする。私は買わずにうどんの束を買った。
広告
母から話が来たのはの半ばだ。誕でもの終わりでもないにかかってくるのは珍しかった。私は画面を見てそのまま鳴り止むのを待った。れば声で気づかれてしまう。母は昔から私の第声で全部分かるだった。
その晩、私は通帳をして残を見た。千百円。私はその数字をしばらく見ていた。それから財布をけた。
いつもの所にあのカードがあった。何も財布のでし入れして、角がし丸くなっている。私はそれを台所の卓のに置いた。置いてから正座をして、しばらくそれを見ろしていた。
というものは、腹が減るとんでいく。あのの言葉に負けるとか負けないとか、そういう話をしていられるのはの米があるだけだ。私にはもうなかった。
「ごめん」
自分の声が部にさく響いた。私は誰に謝っているのかも分からないまま、もう度言った。
「ごめん……もうがれない」
その晩は眠れなかった。井の目を数えて、途で数え忘れてまた最初から数えた。
朝になって、私は顔を洗って番まともなコートを着た。財布にカードを入れて部の鍵を閉めた。縦野央の支までは歩いて分だ。引っ越してきてから私はそのを何百回も通っていた。に入ったことは度もなかった。
広告
歩きながら、私はので数字を確かめていた。「0427」打ち込めば、おそらく数万円はる。それで米を買って、うどんを買って、の賃の部を入れる。そののことはそのあとで考える。
自ドアがいた。の効いた空気が顔に当たった。平の昼がりのロビーは静かだった。子に座っているのは配のがだけ。窓の向こうで誰かが卓を叩く音がしていた。
私は入りを入ってすぐのATMコーナーへった。誰も並んでいなかった。私は財布からカードをした。が震えた。震えているのがけなくて、私は息を吐いてからそれを差し込んだ。
械がい音をてた。私は暗証番号の画面がるのを待った。指はもう「0」の位置に置いていたけれど、画面は切り替わらなかった。差し込んだカードが音をてて戻ってきた。画面にはい文章がていていた。
《このカードはお取り扱いできません。恐れ入りますが、窓へお越しください》
私はその画面をしばらく見ていた。が分からなかった。番号を違えたのなら分かる。私はまだつも押していない。
のに最初に浮かんだのは、額のことでも続きのことでもなかった。「やっぱりそうか」とったのだ。何もを張った末に、私がとうとうをしたそのにこのカードは使えなくなっている。
あのは最の最まで私を突き放すためにこれを渡したのではないか。