"俺を脅し続けた同級生が、留守中の家で出会った男" 第3話
犬に守ってもらってんの?」
そのは2万円を持っていかれた。
玄関が閉まると、ワンコが俺の元へ寄ってきた。
「ごめんな」
何に謝ったのか、自分でも分からなかった。
数。
見らぬ男がへ来た。
俺よりしに見える細の男で、番こう尋ねた。
「お、最犬塚さんと緒にいるだろ?」
「はい」
男は真剣な顔で周囲を見回した。
「気をつけろ」
「何をですか?」
「あのは危ない」
俺は緊張した。
やはり裏社会のなのか。
ところが男は声を潜めて続けた。
「特にさい女の子にい」
「……はい?」
「メイちゃんみたいな子を見ると、すぐ何でも買ってやる。完全に甘やかしてる。あれは教育に悪い」
「そういうですか」
男は平次と名乗った。
以、犬塚ののくでキャッチボールをして傷をつけ、事にしていたフィギュアを弁償させられたらしい。
「とにかく犬塚さんには俺が来たこと言うなよ」
「どうして?」
「また面倒なことになるからだ!」
そう言って逃げるように帰っていった。
ますます犬塚が何者なのか分からなくなった。
その翌週、メイがワンコと遊びながら尋ねてきた。
「お兄さん、最元気ないね」
「そう?」
「うん」
犬塚もこちらを見た。
「何かあんのか」
「別に……」
「嘘つくのだな」
言われて黙った。
俺は健のことを誰にも話したことがなかった。
けないからだ。
22歳にもなって、学代の同級にを取られ続け、怖くて逆らえない。
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そんなことをられたら、犬塚にも呆れられる気がした。
ところがメイが言った。
「困ってるなら言った方がいいよ」
「でも、俺の問題だから」
犬塚がで笑った。
「ワンコが困るだろ」
「え?」
「おが困る。おが困ったらワンコも困る。ワンコが困ったらお嬢が困る。お嬢が困ったら俺が困る」
犬塚は腕を組んだ。
「だから巡り巡って俺の問題だ」
めちゃくちゃな理屈だった。
でも。
その言葉を聞いた瞬、胸の奥に固まっていたものがしだけほどけた。
「……実は」
俺は初めて、健のことを誰かに話した。
犬塚は途でを挟まなかった。
学代からを取られていたこと。元へ戻ったあと再び目をつけられたこと。健が半グレ集団とつながっているらしいこと。そして、警察へ相談すれば何をされるか分からないと脅されていること。
すべて話し終えると、犬塚は言だけ聞いた。
「今までいくら渡した」
「ちゃんと数えてないけど……20万以だといます」
犬塚の眉がわずかにいた。
「何でく言わねえ」
「こんなこと話したら迷惑だとって」
「さっき言っただろ。もう俺の問題でもある」
メイがワンコを撫でながら言った。
「でも暴力はダメだからね」
犬塚の顔が骨に曇った。
「分かってます、お嬢」
「本当に?」
「もちろんです」
「犬塚、すぐ“話しい”って言って怖い顔するから」
「今は優しい顔で話します」
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どう見ても優しい顔ではなかった。
俺はわず笑った。
こんな状況なのに笑えたことが、自分でもだった。
犬塚はしばらく考えてから言った。
「次、いつ来る」
「分かりません。が欲しくなったら突然」
「分かった。何か言われたら全部俺に教えろ」
「犬塚さんが直接会うんですか?」
「まだ会わねえ」
その答えがし引っかかったが、それ以は聞けなかった。
それから約2週。
健は再び現れた。
今度はいつも以に嫌が悪かった。
「100万用しろ」
を疑った。
「……100万?」
「そう。1かまでな」
「そんなないよ」
「親の遺産あんだろ」
「はあるけど、現で100万なんて簡単に――」
「じゃあ売れよ」
健は平然と言った。
「それか、その犬でも売れば?」
ワンコが廊の奥から健を見ていた。
「犬は関係ない」
「だったら俺のストレス発散にでも使うか」
健がワンコへを伸ばした。
その瞬、俺は考えるより先にへていた。
「やめろ!」
自分でも驚くほどきな声がた。
健のが止まる。
そして、ゆっくり俺を見た。
「今、俺に鳴った?」
臓が激しく鳴った。
怖かった。
昔の俺なら、そので謝っていた。
でもろにはワンコがいる。
俺が拾った犬。
俺を待ってくれる族だった。
「ワンコにはをすな」
健は数秒黙ったあと、突然笑いした。
「お、犬飼ったくらいでくなったつもり?」
「そうじゃない」
「いいよ。今は帰ってやる」
健は俺の胸を指で突いた。
「1か、100万な。用できなかったら、今度は本当に痛い目見るぞ」