"俺を脅し続けた同級生が、留守中の家で出会った男" 第1話
俺の名は。22歳。
「実暮らし」と言えば聞こえはいいが、このにはもう両親はいない。を卒業してすぐ就職した会社を関係が原因で辞めてから再就職もうまくいかず、今は両親が残してくれたで、ハローワークへ通う毎を送っていた。
活に困るほどではなかった。父と母がわずかな預とこのを残してくれたから、贅沢さえしなければしばらくは暮らせる。
だからこそ、焦っていた。
22歳で仕事もなく、朝起きても誰からも連絡が来ない。面接へって落ち、帰りにスーパーで分の惣菜を買い、誰もいないへ戻るたびに、俺はいったい何をしているんだろうとった。
父がきていたら「焦らなくていい」と言っただろう。母なら「ご飯だけはべなさい」と言ったに違いない。
そんなをさせるためにも、いつまでもこのままではいけない。
そうっていたある、携帯が鳴った。
画面に表示された名を見ただけで、胃の奥がくなる。
健。
学代の同級だった。
「もしもし」
『おう、。俺だよ、俺』
声を聞いた瞬、昔の教の匂いまでいした。休みになるたび俺の机へ腰をかけ、財布からを抜き取り、断れば肩をつかんで廊へ連れていった男だ。
『今さ、ちょっといるんだわ。今から取りにくから用しとけ』
「また?」
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『“また”って何だよ。友達だろ?』
友達。
その言葉ほど、健のから聞いて腹たしいものはなかった。
学卒業は別々になり、ようやく縁が切れたとっていた。ところが両親が相次いでくなり、俺が元へ戻ってきたことをどこからか聞きつけたらしく、半ほどから再びへ来るようになっていた。
額は最初5000円だった。それが1万円、3万円と増え、このは5万円を求された。
「今、無職なんだ。そんな余裕ないよ」
『親の遺産あるだろ。俺に嘘つくなよ』
「でも――」
『お、俺が昔どれだけ喧嘩かったか忘れた?』
忘れるはずがなかった。
健はだけではなかった。代には相の喧嘩でも勝ったという噂があり、今は元の半グレ集団とつるんでいるらしい。
警察へ相談しようとったこともある。
だが、健は「にはもっと怖いがいる」「余計なことをした奴は元にいられなくなる」と何度も俺を脅していた。
本当か嘘かも分からない。
それでも、きりの俺には確かめる勇気がなかった。
結局、そのも5万円を渡した。
健は封筒のを数えると、「最初から素直にせよ」と笑い、俺の肩を軽く叩いて帰っていった。
玄関の鍵を閉めたあと、俺はしばらくそのにっていた。
話をくれるは、あいつくらい。
を訪ねてくるも、を取りに来るあいつだけ。
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そんな自分が急にけなくなった。
数、朝から激しいがった。
昼飯を買いに所のコンビニへ向かう途、柱の脇に段ボール箱が置かれているのが見えた。には誰かが置いたらしい透な傘がてかけてあり、そので茶いさな犬が体を丸めて震えていた。
「おもか」
しゃがんで声をかけると、犬は警戒するように俺を見げた。
濡れたが垂れている。
「腹減っただろ。何か買ってくるから待ってろよ」
そう言ってちがっただった。
「お兄さん!」
背からきな声がんできた。
振り返ると、学学くらいの女の子と、黒い傘を持った柄な男がっていた。
女の子は俺と犬を交互に見ている。
男の方は、どう見ても普通ではなかった。
く刈った髪。太い首。のでも微だにしない鋭い目。
俺は反射に両をげそうになった。
「何してる」
男がい声で言った。
「え?」
「その犬に何してるって聞いてんだ」
「何もしてません! 寒そうだったから、ご飯でも買おうかと……」
すると女の子が男の袖を引っ張った。
「犬塚、このお兄さん悪いじゃないよ」
犬塚。
どうやら男の名字らしい。
女は犬のにしゃがむと、さなビニール袋からタオルを取りした。
「私、飼いたかったんだけど、おうちじゃ無理なの。犬塚が犬アレルギーだから」
「誰が犬アレルギーだ」
「違った?」
「違う」
の会話を聞いていると、親子にも見えない。
女は俺を見げた。
「お兄さんのおうちでは、この子飼えない?」