"消された母親の席" 第17話
面会謝絶、通信の全面遮断。私は、太陽のすら見せてもらえなかったのよ……!」
胃液が逆流しそうだった。 私は両でを覆い、必で嘔吐を呑み込んだ。
「じゃあ……葵は……? 私の娘の葵は、体誰の子なの……!」
私の問いに、由紀さんはフッと、壊れた操り形のように力なく笑った。
「葵……? ああ、あの子ね。に、綾がこの部へ自しに来たわ。産まれたばかりの赤ん坊の写真を、私の顔のに突きつけてね……。『修平とのの結晶よ。でも、私は条の体裁があるから育てられない。だから、あの愚鈍な仕ての娘に育てさせるの』って」
「仕ての娘……私……」
「信吾さんは、私の父が、私に残してくれた秘密の信託財産の受託者だったのよ。だから綾たちは、信吾さんの娘であるあなたを修平と結婚させ、あなたたちの監に置くことで、私の遺産の残余分まで完全に封じ込めようとしたの。信吾さんは、病でそれに気づいた……。でも、もう遅れだった。だからあなたを連れて逃げようとしたけれど、あなたの体を修平に奪われ、葵という鎖で雁字搦めにされた……!」
のの歯が、狂った音をてて噛みっていく。
すべてが計算尽くだったのだ。 修平が私にづいたのも、優しくプロポーズしたのも、貧しい仕ての娘を妻に選んだのも。 などではなかった。
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条のの資産を完全に掌握し、被害者の血筋を監し続けるための、完璧な偽装結婚。
「由紀さん」私はコートの内ポケットにを伸ばした。「証拠はありますか。修平と綾が、あなたをここに監禁し、止め料を払っていたという決定な証拠が」
由紀さんは震えるで、枕元の粗末なパイプの隙を指差した。
「子の……シートの裏を見て」
私は急いで、え切った子の座面に駆け寄った。 のビニールレザーで覆われたクッションの裏側。縫い目を指先で探ると、粗い縫いの糸で塞がれた隙があった。 私は父の形見のさな糸切りばさみをポケットから取りし、躊躇なく糸を切り裂いた。
からてきたのは、何にも折り畳まれた、枚の茶封筒だった。
封筒のには、枚の類が入っていた。
枚目は、の事故の直、条綾と相沢修平の連名で作成された『秘密保持および活支援に関する覚』。 そこには、由紀を終にわたって部と隔すること、その対価として希望のへ毎万円を支払うこと、そしてその原資は慶学園の特別研修費から捻することが、の直署名と実印によって記されていた。
そしてもう枚。 それは、の付の、聖マリアンナ記病院の分べん監記録の複写だった。
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担当医の欄に、慶の元医であり、現は条グループの理事を務める産婦科医の名がある。 そして、きの特記事項欄には、こう記されていた。
『条綾氏の娩した女児(1,420g)を、同同刻に同院へ緊急搬送された相沢真奈美氏(産確認済)の児として証を作成。戸籍の嫡子としての登録を完させること。本件に関するカルテ原本は学園理事の庫にて保管』
「……これだ」
私の指が、を破きそうなほどく震えた。
産確認済。 私の産んだ子は、本当にんでいたのだ。 そして、そのたくなった私の赤ん坊と引き換えに、あの女の産んだ私児が、私の乾いた胸のに置かれたのだ。
、私が命を削って注いできたは、私の本当の子供の骸を踏み躙ったに成りっていた。
その、通のい鉄扉が、ドカンと乱暴に蹴破られる音が響いた。
「おい! 分過ぎたぞ! くろ!」
見張りの男の声だった。階段を駆けりてくる靴の音が、コンクリートに反響している。
がない。
私は素く類をコートの内ポケットへ滑り込ませた。 そして、もうつのポケットから、あらかじめ葉原の器で調達してきた親指の超型ICレコーダーを取りした。 連続録音、。音声をして自で起する度マイクを搭載した、業務用の型だ。
「由紀さん、聞いて」
私はベッドのに潜り込み、パイプフレームのたい属の裏側に、持参した力な黒の布ガムテープでレコーダーを隙なく貼り付けた。