"「お前は下がれ」白衣を脱いで5年、俺が社長令嬢を救った" 第10話
その説では、つながらない
「器に問題があったとしても、患者を救えなかったのは君だろう」
酒井は、並べられた資料を見ずに俺へ言った。
同説会の席には、病院とメーカーの責任者、部の専が揃っていた。沢社と美咲さんも、同じ言葉を聞いている。俺は子のでを引き、机にづいた。
「救えなかったことは、今も背負っています。だから、何が起きたかを確認してきました」
以なら、そこで声がなくなっていた。今は、自分でくページを決めていた。
「俺の対応が遅れたとする根拠を、ここで示してください」
酒井は、最終報告へを伸ばした。
「その結論を作ったに、何を根拠にしたかを聞いています」
俺は当の経過記録をいた。部の科医が、異常の把握から対応までを確認した結果を述べた。俺の判断の遅れを原因とした記載は、当の複数の記録と矛盾していた。
「最終報告の、この部分は維持できません」
科医が言うと、酒井はをいたまま、隣の尾を見た。
「メーカーから、器に故障はないと回答されたんです。それを提に検討した」
俺は尾へ向き直った。
「検査では異常を確認しています。なぜ、回答から消したんですか」
尾は元のを揃えた。きれいになった端を、もう度指で押さえた。
「製品の状態と、患者さんの転帰の因果関係は、その点では確定していませんでした」
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「それなら、因果関係が未確定だとけばよかったはずです。本体の故障を確認していないとは、けないでしょう」
器の専が、検査報告の該当箇所を示した。故障を否定する回答を裏づける結果はないと、く付け加えた。
尾はうつむき、酒井がまたを挟んだ。
「その検査の細部までは、病院側でわかることではない」
「検査結果の概を酒井部へ説済み、という連絡が残っています。聞いていなかったということですか」
俺が尋ねると、尾が顔をげた。
「力が途切れる異常を確認したことは、酒井先に説しました。遺族への説についても、ご相談しています」
酒井が尾を見た。初めて、俺以のへ向けた声が乱れた。
「そちらが、その回答で問題ないと言ったんだろう」
「器の管理や交換の指示は、病院の問題です」
俺は2が言いうに、族へ渡された説を央へ置いた。
「院内で廃棄し、へはしていない。これは、誰が確認した説ですか」
酒井は返事をしなかった。病院の院が、自分のの資料を閉じた。
「酒井部。あなたが内容を確認した文です。回答してください」
「……返却したことは、っていました」
「では、なぜこういたんですか」
俺がねると、酒井はしばらく黙った。壁の計がむ音が、初めてに入った。
「管理の問題まで広がれば、診療科の体制を問われるとった」
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「俺の名を原因の欄へいて、終わらせようとしたんですね」
酒井は顔をげなかった。俺は返事を待ち、自分から言葉をさなかった。
「……判断を誤った」
その声を聞いても、胸の痛みは消えなかった。ただ、何も言えずに退職届をしたとは違い、俺は席に座ったまま次の説を求められた。
部の専が、検証の結論を述べた。器の力異常と、代替を速やかに確保できなかった管理の備が、救命の妨げになっていた。担当術者だけの判断ミスとした旧報告は、それらを検討せずに作られていた。
沢社が、膝に置いていたを机へ戻した。
「その経過を、息子の記録に残してください。族への説も、正式にやり直してください」
「俺の名に結びつけた、根拠のない判断遅延の記載も訂正してください」
俺が続けると、院はうなずいた。
「旧報告の結論を撤回します。藤先の対応についても訂正し、責任の所を記します」
用されていた訂正案が、俺のへ置かれた。そこには、もう俺1に責任を負わせる文章はなかった。
俺は最初のから、声にさずに読み始めた。