"「お前は下がれ」白衣を脱いで5年、俺が社長令嬢を救った" 第2話
作業着のまま、救急来へ
「その話は、を助けてからにしてください」
さんが俺の隣へ来た。通報を終えた携帯を握ったまま、酒井を見ている。
「藤、救急はこっちへ向かってる。俺たちは何をすればいい」
「入からの通を空けてください。誰かにで誘導をお願いします」
「聞こえたな。台をどけよう。見てるだけの奴はがれ」
同僚たちがいた。検品箱が運ばれ、資材の脇に通れる幅ができた。さんが戻ってくると、も緒に美咲さんのそばへ膝をついた。
「藤、ほかには」
「秘の方に、持病や用の薬がわかるものを確認していただきたいです」
はすぐにった。俺は彼女への呼びかけを続け、反応と呼吸の変化を見ていた。首のろを汗が流れたが、拭くためにをすのも惜しかった。
酒井がを挟みかけた、俺は顔をげた。
「俺の過はで話します。今は、この方の状態を伝えるのを邪魔しないでください」
さんは何も言わず、俺のろにった。1で酒井の声を受け止めていたと、背の覚が違った。
通報から約10分で、救急隊が到着した。隊員が器をすに、俺は測定値と経過を伝えた。
「28歳の女性です。昨から寒気との腰の痛みがあり、先ほど倒れました。体温は38.9℃、最初の血圧は85の50、脈は125。受け答えが鈍くなっています。
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敗血症を疑っています」
「普段の状態はわかりますか」
「直まで案内の質問に答えていました。今は、呼びかけてから目がうまでにがかかります」
隊員が彼女を確認し、仲に搬送の準備を指示した。医務で休ませるという話は、もう誰もしなかった。
担架へ移る、美咲さんが俺の袖をつかんだ。
「藤さん……来て、くれますか」
「はい。俺も病院へきます」
指がれるまで、俺は袖を引かなかった。救急には秘が同乗し、俺はさんのに乗った。作業靴の底に残った属を見て、着替えもせずびしてきたことに気づいた。
「のことなんか気にするな。着いたら、け」
さんはを向いたまま言った。俺はうなずき、膝ので両をいた。まだ、指がきちんと伸びなかった。
搬送先は、俺がかつて勤めていた病院とは別の総病院だった。救急来では、秘が俺の到着を伝えてくれていた。担当医に呼ばれ、現で見たことをもう度説した。
医師がの腰の痛みを確かめると、彼女はかすかにうなずいた。
「昨から排尿のも痛かったそうです。秘さんに、今話してくれました」
俺が伝えると、医師はその報を護師へ共した。尿や血液の検査と画像の確認がみ、抗菌薬の投与や血圧を支える治療が始まった。俺は説を終え、処置のへた。
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扉の向こうのい子音に、が止まった。昔も、閉まった扉ので説する言葉を探した。壁へをつきそうになった、さんが子を引いてくれた。
「藤。今、できることはやったんだろう」
俺はうなずいた。そう答えて座れたことが、5にはなかったことだった。
治療が始まって約2、担当医が説に来た。急性腎盂腎炎による敗血症性ショックと判断し、集治療を続けるという。血圧は支えを必としているが、循環の状態は改善し始めていた。
「まだできる段階ではありません。ただ、現で様子を見ることになっていたら、治療の始はもっと遅れていました」
医師は俺をまっすぐ見た。
「異常を見つけて、搬送につなげてくれた。その判断がきかったです」
さんが隣で息を吐いた。俺は礼を言おうとしたが、うまく声にならなかった。
医師は俺の顔を見直し、胸の名札へ目を落とした。
「藤先、ですよね。臓血管科の。どうして、その格好をしているんですか」