"院長が頭を下げた看護師の妻" 第2話
俺より先に見ていたもの
「移送に、ここまでの経過を教えてください」
久世先がベッドの反対側へ回った。俺は搬送の画像、到着の変化、った処置を伝えた。自分の声を聞きながら、伝える順番をつずつえた。
俺が言葉を切ると、奈々が患者の反応について補した。何を見て、いつ俺へ報告したか。久世先は確認してから、届いた画像と目のの状態へ線を戻した。
「術へめます。麻酔科とわせます」
その返事を待っていたように、桜庭師が連絡を入れた。奈々はベッドにつながった管を見て、移送を担当する護師と本ずつ位置を確かめている。俺が追加の指示をすと、復唱した相から、実施した報告が返ってきた。
処置をる直、奈々が宅へ声をかけた。
「先、先ほどの変更も、引き継ぎでお願いします」
宅は記録へ目を落とし、頷いた。いつものように軽を返す余裕はなかった。
扉のには、藤堂の妻が待っていた。秘からの説では落ち着かなかったのだろう。ちがりかけた体を、子の背にを置いて支えていた。
久世先が緊急術の必性を説する、俺もそばにった。させたくて「丈夫です」と言いそうになり、言葉を止めた。今、約束できるのは、必な治療へつなぐことだった。
「こちらで確認したことは、科と麻酔科へ引き継いでいます」
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俺が伝えると、藤堂夫は何度も頷いた。奈々は術へ向かう護師に記録を渡し、夫が次に待つ所を担当の職員と確かめていた。
ベッドがきした。俺たちは器と患者の状態を確認しながらみ、術の入で担当者へ引き継いだ。
扉が閉まった、俺はしばらくそこにっていた。掌には汗が残っていた。奈々は引き継いだ内容を確かめ、聞かれたことに答えてからこちらへ戻ってきた。
「最の確認も済みました」
「ありがとう」
妻にそう言うと、奈々はく頷いた。
俺は医師になって18になる。救急の面をらなかったわけではない。だが今は、患者の名を聞いたから、失敗したの自分のまで考えていた。目のの変化に集すべきに、関係のない声をから追いせなかった。
奈々が運んできた報は、俺を患者のそばへ戻した。言われた物をそろえるだけなら、俺の指示を待っていればいい。妻は、指示をす俺に何がりないかを見ていた。
「疲れたか」
そう聞くと、奈々はし考えた。
「今は、引き継ぎに抜けがなかったか気になります」
俺は緒に記録を確認すると言った。奈々は端末のへ子を寄せてくれた。画面には、呼びかけへの反応が変わったの観察も残っていた。俺が処置に集しているも、護師たちは変化を拾い、記録していたのだ。
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確認を終えると、桜庭師が奈々に休憩へ入るよう言った。
「こちらは引き受けます。分を取ってきて」
「お願いします」
奈々はそばにあった物品を元の位置へ戻し、処置をていった。廊の角で首をゆっくり回すろ姿を見て、俺はようやく、妻も体を張り詰めさせていたのだと気づいた。
術のらせが来るまで、俺はほかの患者の診療へ戻った。端末を見るたびに藤堂の名を探しそうになったが、今ここにいる患者の話を聞き直した。
数、久世先から術を終えたと連絡があった。藤堂は集治療へ入り、引き続き慎に管理するという。話を置いた、俺は子の背に体を預けた。
奈々にも伝えようと救急へ戻ると、桜庭師かららせを聞いたところだった。奈々は胸元へを当て、息を吐いた。
「術までつながって、よかったです」
それから、使い終えた器具を片づけている同僚の方へ戻っていった。自分だけの仕事が終わったようには振るわなかった。
隣に宅がっていた。奈々の背を見ていたが、彼女がこちらを向きかけると、目をそらした。
「おの奥さん、体何者なんだ?」
俺はすぐに答えられなかった。
妻の勤め先も、勤務表もっている。好きな茶の種類も、弁当に入れる卵焼きのもっている。それなのに、宅が尋ねていることについては、何も言えなかった。