"毒を運ばされていた私" 第10話
「そうだ。あの女は、寄りのない男を見つけては取り入り、病気に見せかけて排除し、その部の権利や財産を掠め取ってきてきた怪物だ。そして桜川団では、神崎という買収しやすい町医者を見つけ、完全犯罪のシステムを完成させた。神崎のみは、過の診療報酬の正請求だ。フミは最初、神崎の医院の掃除婦として潜り込み、その帳簿の証拠を握って共犯関係を結んだ」
団の廊の淀んだ空気。 清原さんが見せた、慈母のような微笑み。 その裏で蠢いていた、数にわたる徹な捕の連鎖。 私の全の皮膚のを、無数の虫がい回るような戦慄を覚えた。
「だが、松永さん……」
私は喉の渇きを覚えながら、最も恐ろしい疑問をにした。
「なぜ清原フミは、今になってんだんですか? 、彼女の部で倒れていた、傍らにはあの茶がこぼれていました。彼女自も、全でんだんです」
松永は煙にをつけ、煙を細く吐きした。
「神崎のメモをもう度よく見てみろ。『相馬の件で、私の診断偽造は限界だ。保健所の監査が入れば、私も君も終わりだぞ』……神崎は、もう限界だったんだ。を過ぎ、自分の医院の続も危ういで、過の殺の片棒を担ぎ続けることに耐えられなくなった。フミを切り捨てる潮だと考えたんだろう」
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「神崎が……清原さんを毒殺したと?」
「あるいは、フミが神崎を脅すために用した茶を、逆にまされたか。どちらにせよ、あのの共犯関係が破綻した結果だ」
松永は吸い殻を皿に押し付け、鋭いで私を射抜いた。
「咲子さん。問題はここからだ。あんたのや、信頼できる薬学関係者はいるか? このビスケット缶の底に残っていた、茶の残渣。これを科学に分析しなきゃならん。警察をかすには、神崎のメモだけじゃい。『実際にがぬ濃度の毒物が、その団で調されていた』という客観な鑑定が必だ」
「……、当たりがあります」
私の学代の同期で、現は都内の学病院の薬剤部に勤務している女性の顔が浮かんだ。 彼女なら、事を話せば私に成分分析を引き受けてくれるかもしれない。
「よし。今すぐけ。俺はこれから、当の検資料の控えと、桜川団の過の変者のリストを洗い直す。夕方、もう度ここで落ちおう」
私はビスケット缶から、乾燥した黒ずんだ茶葉の欠片が入った薬袋を抜き取り、鞄の奥底に滑り込ませた。
学病院の研究棟の裏で同期の友と会い、事を伏せたまま「利用者が誤した能性のある民療法の野」として、緊急の定性分析を依頼した。 彼女は怪訝な顔をしながらも、私の青ざめた表に気圧され、ラボの分析器を回すことを約束してくれた。
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分析結果がるまでの、私は病院のの暗い待で、膝を抱えて待った。 蛍灯のジーという子音がに障る。 目を閉じると、の清原さんとの常が、断片な映像となって蘇ってくる。
『咲子さん、いつもありがとうね』 『私、咲子さんが淹れてくれるお茶が番好きよ』
あの言葉は、本当にただの謝だったのか。 なぜ彼女は、私だけにあの茶を淹れさせたのか。 なぜのヘルパーでは駄目だったのか。
胸の奥に芽えたさな棘が、の経過とともに、鋭く、く、私の臓を突き刺し始めていた。
午。 友が、のポケットにを突っ込んで、い取りで待に現れた。 その顔には、隠しようのない緊張が張り付いていた。
「……咲子、これ、どこでに入れたの」
部に連れてかれ、渡されたプリントアウトの用には、ガスクロマトグラフィーの複雑な波形が印刷されていた。
「これ、ジゴキシンの濃度が異常よ。それだけじゃない。アコニチン系……トリカブトの微量成分と、未精製のイブキジャコウソウが混ざってる。これ、民療法なんてレベルじゃないわ。らかに、臓に基礎疾患のあるをピンポイントで仕留めるために調された毒物よ」
友の声が震えていた。
「カルシウム拮抗剤を常用しているがこれをんだら、以内にブロックを起こして止する。