"失踪した妻を道の駅で見つけた――「来ないで」と怯えた理由" 第12話
宝くじ売り。
あのと同じ所に、さな売りが残っていた。
今は別の配女性が座っている。
をりる。
結は杖を持った。
私は腕をそうとした。
「自分で歩く」
「分かった」
ゆっくり。
歩。
歩。
杏奈が先にく。
「あ、ここ!」
排溝の段差。
今は平らに直されている。
結がち止まった。
「ここだったね」
「うん」
私は横につ。
「怖い?」
結は考えた。
「し」
が吹いた。
の匂い。
蝉。
暑さ。
あのと似ていた。
でも。
結は逃げなかった。
「ママ!」
杏奈が売から戻ってくる。
にアイス。
「3つ買った!」
「勝に?」
「パパのお」
「いつ財布取った」
「さっき」
結が笑う。
「相変わらずだね」
3でベンチへ座った。
バニラ。
いちご。
杏奈はソーダ。
「ママ、あのもここでアイスべた?」
「ママはべてない」
「じゃあ今が初めて?」
「そうだね」
結はべた。
「おいしい」
「でしょ?」
杏奈が得そうに言う。
私は2を見た。
あの。
ここにっていた。
世界は壊れたようにじた。
妻が見つかった。
でも歩けなかった。
怯えていた。
私たちを拒絶した。
そこから。
全部が変わった。
今。
同じ所で。
3でアイスをべている。
それだけ。
本当にそれだけなのに。
胸がいっぱいになった。
結が言った。
「誠さん」
「何?」
「ありがとう」
「何が」
「探してくれて」
「杏奈のおかげだ」
娘を見る。
「喉乾いたって言ったから」
杏奈が笑う。
「杏奈すごい?」
「すごい」
「もっと言って」
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「世界すごい」
「そうでしょう」
結が吹きした。
しばらくして。
私は売でさな宝くじを3枚買った。
「何してるの」
結が聞く。
「記」
「宝くじ?」
「1枚ずつ」
杏奈がぶ。
「当たったらどうする?」
「何欲しい?」
「犬!」
結。
「急に増やさないで」
「ママは?」
「私は……」
し考える。
「3で旅」
「どこへ」
「」
私は聞く。
「俺は?」
杏奈が答える。
「パパは仕事休む」
「それ願いじゃないだろ」
また笑う。
宝くじは。
結局3枚ともれた。
それでも。
帰宅したあと。
結はそのれ券を捨てなかった。
「何で取っておくの」
私が聞く。
「記」
「れだよ」
「いいの」
引きしの。
あの古い宝くじ箱の隣へ。
3枚のれ券を入れた。
昔。
その箱は結を縛るものだった。
胸からげ。
のない駐で。
誰にも正体をられないように暮らした。
だが。
箱の底には。
彼女が最に守った真実があった。
私は々う。
もし杏奈が喉が渇いたと言わなかったら。
もしあの、別のの駅へ入っていたら。
もし結が顔をげなかったら。
私たちはどうなっていたのだろう。
考えても答えはない。
だから。
今あるを切にする。
朝。
「おはよう」
夜。
「おやすみ」
学から帰れば。
「ただいま」
にいる誰かが。
「おかえり」
そう返す。
以は当たりだった。
度失って。
ようやく分かった。
族というものは。
きな敷でも。
会社でも。
血筋でも。
財産でもない。
帰った。
自分のをんでくれるがいること。
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そのと。
も同じ卓を囲めること。
それだけでいい。
数か。
リビングで杏奈が宿題をしていた。
結はキッチン。
私は仕事の類。
「パパ」
「ん?」
「ママがいなくなったの、まだある?」
鉛を持ったまま聞く。
私は結を見る。
結もきを止めた。
あの置き。
今も保管していた。
証拠として提した写しではなく、返却された原本。
「あるよ」
「見たい」
私は迷った。
結が言った。
「いいよ」
ファイルをす。
杏奈が読む。
もう学2。
内容は理解できる。
《に好きなができました》
顔をげる。
「嘘なんだよね」
結が頷く。
「嘘」
「何でこんなのいたの」
私は答えようとした。
だが。
結自が言った。
「杏奈とパパを守れるとったから」
「怖かった?」
「すごく怖かった」
杏奈はしばらくを見た。
そして。
鉛を置いた。
母のところへく。
抱きついた。
「今は?」
「今?」
「怖い?」
結は娘の背を撫でる。
「今は丈夫」
「どうして」
結が私を見る。
し笑う。
「2がいるから」
杏奈も振り返る。
「パパも来て」
「何で」
「3だから」
私はちがった。
2のところへく。
杏奈が真ん。
結。
私。
「狭い」
私は言った。
「して」
結が笑う。
テーブルのには。
半、私を苦しめた便箋があった。
以は。
その4を見るたび。
妻に捨てられたとった。
自分に何がりなかったのか。
なぜ杏奈まで捨てられたのか。
何百回も考えた。
今は違う。
あれは。
別れのではなかった。
恐怖のでも。
私と杏奈をかそうとしたが残した。
歪んだ形の。
助けを求める声だった。
私は便箋をファイルへ戻した。
もう。
毎見る必はない。
過を忘れるわけではない。
許すわけでもない。
ただ。
私たちはもう。
あの4にを決められる族ではなかった。
窓の。
夕暮れ。
結が台所へ戻る。
「今、ハンバーグだけどいい?」
私は笑った。
「あのもそう言ってたな」
結のが瞬止まる。
私も言ってから気づいた。
嫌な記憶を呼び戻したかもしれない。
しかし。
結は振り返った。
「じゃあ今は、ちゃんとべてもらわないと」
「チーズあり?」
「子どもじゃないんでしょう?」
昔と同じ。
杏奈が笑う。
「パパ、子どもだよ」
「何でだよ」
「アイス、バニラしかべないから」
「関係ないだろ」
3の笑い声が。
リビングへ広がった。
半。
失ったは戻らない。
結の体にも傷は残った。
杏奈にも。
私にも。
それでも。
傷があるまま。
はもう度暮らしを作ることができる。
完璧に元通りにならなくてもいい。
昨よりし。
して眠れる。
昨よりし。
笑える。
昨よりし。
が楽しみになる。
それでいい。
そして々。
私はいす。
あの。
あいのの駅。
杏奈がさな指を伸ばし。
震える声で言った。
「パパ、あの……」
あの瞬。
半止まっていた私たち族のが。
もう度。
き始めたのだ。