みかん小説
本棚

"失踪した妻を道の駅で見つけた――「来ないで」と怯えた理由" 第8話

母親は男と逃げた。そんな庭で育てるより、吉兼へ置く方がいい」

私は封筒を見た。

1000万円。

彼らは本当に。

私と杏奈の関係を、この額で切れるとっている。

「杏奈をどうするつもりですか」

武志が答えた。

「俺たちが養育する。必なら養子に入れる」

「あなたの?」

「ああ」

「なぜ」

武志の顔がし変わった。

のことだ。おに説する必はない」

「結が持っていた株が関係ありますか?」

沈黙。

武志が宗郎を見る。

郎の目が細くなった。

「誰から聞いた」

「聞いてません。考えただけです」

私は続けた。

「結したことになれば、相続は杏奈へ移る。その杏奈を武志さんが養子にすれば、未成、財産管理へきく関われる」

武志が机を叩いた。

ったようなを利くな!」

だった。

郎はい声で言う。

「どこまで聞いている」

「何も」

私はわざと笑った。

「妻が半もいないと、々考えるがあるんです」

武志は苛ったように類をした。

「面倒だな。とにかくサインしろ」

親権。

養育。

財産管理。

複数の同

私は読むふりをした。

「これに署名すれば?」

「1000万円を渡す」

「断ったら」

郎が答えた。

「裁判だ」

「裁判?」

「こちらには弁護士もいる。おの経済力、庭環境、仕事の忙しさ。あらゆるものを使って親権を争う」

「なるほど」

「理解したならサインしろ」

私はペンへを伸ばさなかった。

広告

武志が睨む。

「何してる」

「1つ聞いていいですか」

「何だ」

私は宗郎を見た。

「結が失踪した夜」

郎の瞬きが止まった。

「どこにいました?」

武志が顔をげた。

郎はすぐ答えた。

だ」

「武志さんも?」

「そうだ」

「2とも?」

「何の話だ」

「別に」

私は類を閉じた。

「ただ、妻がた夜、あなたたちは何をしていたのかなとって」

郎の声がくなる。

「結は男と逃げた」

「そうですね」

「何が言いたい」

私はしばらく2を見た。

そして。

「親権は渡しません」

武志ががった。

「何だと!」

「1000万円もいりません」

「お、自分のが――」

「裁判でも構いません」

郎が眉をひそめた。

がるな」

「むしろ、裁判の方が都がいい」

「なぜだ」

「公ので、全部話せるからです」

の空気が変わった。

「何を」

私は静かに答えた。

「半、実の裏で何があったのか」

武志の顔から、表が消えた。

郎は数秒黙っていた。

「何の話だ」

「分かりませんか」

の分からないことを言うな」

武志も笑った。

だが声が乾いていた。

「結が何か言ってたのか? あいつは男と――」

「今、会いました」

武志の笑いが止まった。

郎のかなくなった。

「誰に」

「結に」

完全な沈黙。

くで計の音がした。

郎が言う。

「馬鹿な」

「何がです?」

「あいつが……」

そこまで言い、止まる。

「結きているのが、議なんですか?」

郎の顔が変わった。

武志ががる。

広告

「どこにいる!」

「教えません」

「お!」

「それより」

私はスマートフォンをした。

「2に聞いてほしいものがあります」

武志の目がく。

「何だ」

私は再した。

枯葉。

音。

『お父さん、こんな夜に何の話なの?』

の声。

武志の顔が真っになった。

「止めろ」

私は何もしない。

『この類に署名しろ』

『こんなもの、弁護士に見てもらわないと――』

『女のおには必のない株だ』

郎が震え始める。

「止めろ!」

今度は宗郎。

私はスマートフォンをに取った。

「どうしてです?」

「それは……」

「あなたたちの声でしょう」

武志がテーブル越しにを伸ばした。

「寄こせ!」

私は距を取った。

「データはもう複製しています」

武志が止まる。

「警察にも?」

「準備です」

「誠君」

郎の態度が変わった。

、私を「お」としか呼ばなかった男が。

初めて名で呼ぶ。

「落ち着いて話そう」

「録音はまだ途です」

私はもう度再した。

鳴。

激しい音。

『お兄ちゃん、して!』

武志の声。

『おさえいなければ全部まとまるんだ!』

そして。

きな衝撃。

郎。

を見ろ』

武志。

『見えない』

しばらく沈黙。

『これで株は戻るんだろ』

『まず事故に見せる。にもを置け』

何も聞こえなくなった。

郎はソファへ沈んでいた。

武志はったまま、机にをついている。

「これでも」

私は尋ねた。

「結は男と逃げたんですか?」

武志が叫んだ。

「違う!」

「何が」

「突き落とすつもりじゃなかった!」

郎が鳴った。

「武志!」

遅い。

「押したことは認めるんですね」

武志が自分のを押さえた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: