"追い出された四畳半" 第19話
刑事の声はく、廊の音を押し殺すように響いた。 「おが昨提した『名義承継申請』に添付されていた戸籍謄本、それから民票の偽造に関して、すでに印公文偽造・同使、および詐欺未遂で捜査差押許状がてる。……それから、おの乗ってきた黒のセダン、ナンバーのクラウンな。あれ、の名義で融流れにした無検運の両だな。すでにレッカーの配を済ませた」
須藤の膝が、目に見えてガクりと折れた。 「な……」
「さらに言わせてもらえば」 矢代監察官が、バインダーのページをめくった。 その質な声が、狭い玄関に響き渡る。 「須藤さん、あなたが誇らしげに掲げているその『放棄届』。それに押されている印ですがね」
矢代は元の拡コピーを、須藤の先に突きつけた。
「昨分、宇佐美茜さんによって区役所にて正式に廃止届が受理された、失効済みの旧印鑑のものです。現の宇佐美さんの登録実印とは、印の・枠の摩耗度ともに切致しません」
「嘘だ……!」 須藤が叫んだ。 「お、さっき押しただろ! 俺の目ので、自分の印鑑ケースからして押したじゃねえか!」
須藤の血った目が、私を睨みつけた。 その瞳には、信じじていたが音をてて崩壊していくことへの、純粋な狂気と恐怖が宿っていた。
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私は、作業着のポケットにを入れた。 そして、昨千駅の百円ショップで買い、そので区役所の窓でしく登録した、黒いプラスチックの認印を取りした。 テーブルのに、コトンと静かな音をてて置く。
「昨、あなたが引きしから盗みした印鑑は、もうただの屑です」 私の声は、ひどく澄んでいた。 の波はつもなく、ただ徹な事実だけを紡ぎす。 「私がしく登録した実印は、これです。あなたが持っている類に押されたハンコには、円の法効力もありません」
「ふざけるな……! ふざけるなよ!」 須藤がテーブルにをつき、を乗りして私に掴みかかろうとした。 「てめえ、最初からハメる気で……!」
「くな!」 配の刑事が、の速さで須藤の腕を取り、背にねじりげた。 バキリ、と関節の軋む鈍い音がして、須藤のから「ぎゃっ」とみっともない鳴が漏れる。 そのまま、居の畳のに顔面から押し倒された。
フローリングに叩きつけられた須藤の頬が、歪んで潰れる。 彼が必に握りしめていたジュラルミンケースが元から滑り落ち、パチンと留め具がれてがぶちまけられた。
のに散らばったのは、数枚に及ぶ消費者融のカード。 そして、きで氏名と額だけがき込まれた、無数の借用のの束だった。
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「……拓真くん?」 莉緒が、腰を抜かしたようにそのにへたり込み、散らばった類を見つめていた。 「何これ……? コンサルタントの仕事って……これ何なの……?」
「桐原莉緒さん」 矢代監察官が、今度は莉緒に向き直った。 その線には、れみすら含まれていなかった。 あるのは、、公を掠め取ろうとする正受者を見届けてきた者特の、底れない淡さだけだった。
「あなたにも、公社からな通告があります」
矢代はクリアファイルから、みのある計算の束を取りし、畳のに正座した莉緒の膝元へ落とした。 が擦れうカサリという音が、静まり返った部に落ちる。
「過、あなたが宇佐美茜さんから『賃折半』と偽って徴収していた額の精算です」
莉緒の瞳が、用の最部に印字された太い数字に吸い寄せられた。
『当利得返還請求算定額:百万千円』
「宇佐美さんの提された預通帳の履歴、およびあなたの座への入履歴、さらに毎宇佐美さんに渡されていたきの領収メモの跡鑑定をいました」 矢代は淡々と事実を積みげていく。 「本宅の正規賃は、宇佐美茜さんのき母が遺された特定活困窮者減免措置により、額万千百円です。にもかかわらず、あなたは実額を万円と偽り、毎万千円を宇佐美さんから詐取していました」
「さ、詐取だなんて……! シェアハウスの相を考えたら妥当な額で……!」