"追い出された四畳半" 第16話
自分たちがっている元が、すでに私が仕掛けた底なしの落とし穴の真であることにも気づかずに。
私は音を忍ばせ、畳半の部へと戻った。
午。 私は机のに、の朝のための『準備』を広げた。
まず、昨区役所で発してもらったばかりの、真しい印鑑登録証の原本。 そして、母の代から、この公団の賃減免措置を継続してきたすべての決定通のコピー。 さらに、過にわたって、私が毎万千円を座から引きし、莉緒に渡してきた記録が並ぶ、擦り切れた冊の通帳。
引きし額の横には、私の几帳面な文字で、毎『賃折半・莉緒へ渡し』と鉛でき添えられていた。 そして、その横には、実際の公団賃が万千百円であることを示す、公社の正規の納付領収。
差額、毎万千百円。 の累計、百万千円。
これは、民法第百条における『当利得』であり、同に、活困窮者向けの減免制度を悪用した、極めて悪質な詐欺の物証となる。
私はスマートフォンの画面を点灯させた。 画面には、矢代監察官からショートメッセージが届いていた。
『朝分、予定通り配置につきます。所轄署の活全課および刑事課の捜査員計名が待。宇佐美さんは、分に玄関の内鍵を解除してください。
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図はです』
私はい返信を打った。 『解しました。すべての類を準備して待します』
送信を終えると、画面を伏せた。 指先は、もう微も震えていなかった。 体の奥底に溜まっていた恐怖も、惨めさも、すべてが研ぎ澄まされた刃の輝きへと変わっていた。
午。 の空が、い鉛のの向こうから、々としたを漏らし始めた。 は激しい砂りから、たく纏わりつくようなへと変わっていた。
ドンドン、ドンドン!
乱暴に畳半の襖が叩かれた。
「おい、茜! 起きろ! いつまで寝てんだよ!」
莉緒の声だった。 襖が乱暴に引きけられる。
そこにっていた莉緒は、昨夜の取り乱した姿が嘘のように、完璧ななりをえていた。 級ブランドのベージュのトレンチコートを羽織り、髪を巻き、濃いメイクで目のの隈を塗り固めている。 だが、その瞳の奥には、隠しきれない焦燥と、追い詰められたの凶暴なが宿っていた。
「さっさと居に来なさい。拓真くんが呼んでるから」
私は静かにちがり、主を失った作業着の襟元を正した。 そして、昨夜用した黒いトートバッグをに取り、居へと向かった。
居の景は、まるでっぽい法廷のようだった。
ローテーブルの央には、枚の真しい用が置かれていた。 庭用のプリンターで印刷されたばかりの、インクの匂いが残る類。
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『公団宅居権切放棄申兼即退誓約』
そのには、箇条きで勝な条件が並べられていた。
、宇佐美茜は、本午をもって本宅の居権を無条件で桐原莉緒に譲渡する。 、過に支払われた員について、名目を問わず切の返還請求をわない。 、今、桐原莉緒および須藤拓真に対し、民事・刑事のいかなる異議申してもわない。
テーブルの向こう側には、ネイビーのスーツに着替えた須藤が、腕を組んで座っていた。 目のは黒ずみ、血った球が、私を射殺すように見据えている。 彼のは、テーブルのに置かれた黒い特殊警棒の柄のに、いつでも握れるように置かれていた。
「座れ」 須藤が、をうようない声で命じた。
私は言われた通り、テーブルの端、正座で腰をろした。
「よく読め」 須藤は類を、指先でバンバンと叩いた。 「今すぐここに署名して、ハンコを押せ。……昨、役所でどうのこうの言ってたらしいがな、そんな細は通用しねえんだよ。おがここに自分の志でハンコを押せば、すべての続きは適法に処理される」
「……もし、押さなかったら?」 私はあえて、掠れた、怯えたような声で尋ねた。
須藤の元が、品に歪んだ。 彼はを乗りし、私の顔の数センチ先まで顔をづけた。 温かい酒とタバコの臭気が、私の腔を突く。