"離婚した直後、奪われていた80億円が戻った――元夫の結婚式で私が取り返したもの" 第5話
私は初めて彼女を「お義母様」と呼ばずに答えた。
「佐藤さん。私はもうあなたのの嫁ではありませんから、佐藤のしきたりに従う必はありません。ただつだけ、これから覚えておいた方がいいことがあります。のものは5握っていても、10握っていても、自分のものにはならないということです」
美智子の顔が赤く染まった。私を叱りつけようとをいたところで、会から司会者の声が聞こえ、披宴始を告げる音楽が流れ始める。私は彼女へ礼し、会の番ろに用されていた関係者席へ向かった。
正面には巨なスクリーンがあった。いの壁の央で、健吾と優奈が何百もの招待客に祝福されている。美智子は最列に座り、まるでこの結婚式そのものが佐藤の勝利を証しているかのように背筋を伸ばしていた。
スクリーンで映像が始まった。が庭園を歩き、優奈が「健吾さんといると守られているとじます」と涙ぐみ、健吾が「回りをしたからこそ本当のに会えた」と語っている。
5分が過ぎた頃、健吾はカメラをまっすぐ見つめて言った。
『過の縁には謝しています。でも、は未来へむために、には過を放さなければならないとっています』
私は腕計を見た。
あと1分。
健吾はまだらない。
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自分が過と呼んで切り捨てたもののに、会社を支えてきた設計も、特許も、そして自分自が残した証拠まで含まれていることを。
映像が始まって6分をし過ぎた、スクリーンが秒だけ暗くなった。司会者は瞬だけ台袖を振り返ったが、単なる再トラブルだとったのだろう。招待客もまだ笑顔を残し、元のワイングラスを傾けていた。
次の瞬、黒い画面にい文字が現れた。
《泰成建設 財産権および関連会社取引に関する独監査報告》
会の空気が変わった。
最初に反応したのは、企業経営者や関係者だった。画面に表示されたのはな告発文ではなく、父の特許番号、それを使用した事覧、契約支払われるべき使用料、実際の支払額、そして差額が流れた社の関連会社だった。専でなくても、数字の矢印を追えば自然さが分かるよう理されている。
健吾の元から笑みが消えた。
優奈はブーケを握る指へ力を入れ、美智子は最列からちがった。
「誰がこんなものを流しているの! すぐ消しなさい!」
彼女の声が響いたが、画面は変わらない。次に表示されたのは、関連会社から美智子の管理する投資ファンドへ資が流れた記録だった。その額が段ずつ積みがっていくたび、会のあちこちからいざわめきが起きた。
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健吾が司会者からマイクを奪った。
「皆様、申し訳ありません。社内資料が誤って再されたようです。映像チームのミスですので、どうかそのままお事を――」
言葉の途で画面が切り替わった。
今度はメールだった。
《瀬栞の名は設計者覧からせ。会社側へ権利を移した形にする》
送信者は、佐藤健吾。
宛先には財務担当者と優奈が並んでいた。
会のざわめきが段きくなり、今度は優奈の顔から血の気が引いた。彼女は健吾を見たが、健吾は返事をせず、台袖へ向かって「止めろ!」と叫んでいる。ホテルスタッフがこうとしたところで、事に説を受けていた支配が制止した。
私は席をった。
円卓のをゆっくり歩いていくと、私をる者たちが声で名を囁き始めた。今朝婚が成したばかりの元妻だとるもいれば、初めて私を見るもいた。だが私が泣き叫びもせず、ただ台へ向かって歩いていることが、かえって彼らの注を引いた。
健吾が私を見つけた。
「栞……お、何をした?」
台のでち止まり、私は彼を見げた。
「私のものを取り返しているだけよ」
美智子がをかき分けてづいてきた。
「この恩らず! 5うちので暮らしておいて、息子の結婚式を潰すつもりなの!」
「5、私が何を持ち込んだかも覚えていらっしゃらないんですね」
私は鞄から茶い封筒を取りした。そこには父の特許権の相続証、信託座の確認、そして婚成に伴って資管理権が私へ移ったことを示す通が入っている。