"空っぽの弁当箱" 第7話
健は米びつをけた。
そこへ美がりてきた。
「何してるの?」
「米を炊く」
「今から?」
「母さんに戻ってきてくれって言った。でも、また弁当を作ってもらう提で呼び戻したら何も変わらない」
美はしばらく炊飯器を見た。
「じゃあ、私、卵焼く」
その朝、初めて4で朝の支度をした。
陸は自分で弁当箱をした。
芽は学の連絡を確認した。
健は米を炊き、美は卵を焼いた。
焦げた。
ウインナーもし焼きすぎた。
陸の弁当にご飯を詰めた健は、になった。
「これじゃないか?」
「部活あるからりないかも」
「じゃあ、おにぎりも作る」
以なら、はる子が何も言われずにやっていたことだった。
芽は自分の弁当へミニトマトを入れた。
「今はハートの参ないけど」
美がを止める。
芽はし考えた。
「これでもいい」
4つの弁当は格好だった。
だがその朝初めて、誰か1が族全員の活を背負うのではなく、それぞれが自分のことを引き受けた。
健はしいノートを買った。
表にいた。
《佐々の活ノート》
古い「族運営ノート」は閉じた。
「これは母さんが1でくものじゃなかった」
健は言った。
「これからは俺たち4でく」
陸は部活の予定をく。
芽は学の提物をく。
美は買い物のと用品の残りを確認する。
健は計と朝の支度。
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失敗しても、母へ話して聞かない。
分からなければ4で考える。
それから約1か。
健ははる子へいメッセージを送った。
《母さんに直接謝りたい。急がない。都がいいでいいから、し会えないかな》
返信は翌の昼に届いた。
《曜の午なら丈夫です》
健は画面を見つめた。
「子どもたちも連れていく?」
美が聞いた。
健は首を振った。
「今回は俺たち2でこう」
「どうして?」
「陸と芽を連れていけば、母さんの気持ちを変える材料にしそうだから」
美は目を伏せた。
「私も今、同じこと考えてた」
「また母さんの優しさに甘えることになる」
その曜。
2は、はる子が暮らす期滞型宅を訪ねた。
案内された共用スペースには、さな丸いテーブルが置かれていた。
窓から午のが差し込んでいる。
しばらくして、はる子が入ってきた。
紺のカーディガンを羽織り、髪をきちんとえていた。
健はその姿を見て、し驚いた。
にいた頃の母は、いつもエプロン姿だった。
自分たちが勤する頃には、もう仕事終えた顔をしていた。
今の母には、次の事を急ぐ様子がない。
「座って」
はる子が言った。
2は子に腰をろした。
健はすぐをげた。
「母さん、ごめん」
はる子は黙って聞いた。
「俺は母さんがいることを当たりだとってた。
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ませてやってるなんて言ったけど、実際は母さんが俺たちの活を回してた」
健は膝ので両を握った。
「ていった朝も、最初に配したのは母さんじゃなかった。弁当と会社のだった」
声が詰まった。
「本当にごめん」
美もをげた。
「私もです」
はる子は顔をげた。
美は言葉を続ける。
「5万円の居候なんて言いました。毎きちんと払ってもらっていたのに、それ以のおまで使ってもらっていたこともりませんでした」
度唇を噛んだ。
「弁当も洗濯も事も全部してもらっていたのに、私は自分の職でどう見られるかばかり気にして……お母さんを、族じゃなく便利なみたいに扱っていました」
はる子は湯呑みからがる湯気を見た。
しばらくしてをいた。
「私は、おのことでったんじゃないの」
健と美が顔をげる。
「5万円の居候って言われたこともしかった。でも番つらかったのは、族として見られていなかったこと」
はる子は自分のを見る。
「母親だから、義母だから、にいるから。何かして当然だとわれていたことよ」
美の目に涙が浮かんだ。
はる子は続けた。
「の尊厳って、毎いくら払うかで決まるものじゃないの。私はもっとに、族として話をしてほしかった」
健は黙って頷いた。
「母さん」
「なに?」
「もう戻ってきてくれとは言わない」
はる子の目がしいた。
「俺たちは、母さんが戻らなくても暮らせるようにならないといけない。