"義母に通帳を渡さなかった妻" 第3話
と言ったはずなのに、今は私にわせろと言っている。そのさな変化が、妙に引っかかった。
そして3目の朝。
ダイニングテーブルに、A4用が2枚置かれていた。
番にはきな文字で「林のしい活ルール」とかれていた。第1条は「与座を計管理者である恵子に預ける」、第2条は「平の夕は原則としてひよりが作る」、第3条は「は週1回まで」、第4条は「額商品の購入は族会議で決める」だった。
私は黙って最まで読んだ。
そこには「来に妊娠を目指す」という項目まであった。
「これは何ですか?」
私が尋ねると、恵子は噌汁をよそいながら平然と答えた。「庭っていうのはね、誰かがきちんと方針を決めないとバラバラになるのよ。ひよりさんは仕事はできるんでしょうけど、庭についてはまだ若いから」
「私、31歳ですけど」
「だから若いのよ。私は38、庭を守ってきたんだから」
蒼太は、また黙っていた。
私は彼に用を差しした。
「あなた、これ読んだ?」
「ああ」
「賛成なの?」
数秒のがあった。
そこで「違う」と言ってくれれば、まだ何かが変わったかもしれない。
「全部じゃないけど……計を母さんに任せるのは、別に悪くないとう」
私はをテーブルへ置いた。
恵子が満そうに微笑んだ。
「でしょう? 蒼太もそう言ってるじゃない。ひよりさんもを張らないでカードをしなさい」
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「嫌です」
「族なのに?」
「族だからこそです。自分の座も暗証番号も、に預けません」
恵子の顔がみるみるくなった。「って何よ。私はあなたの義母なのよ」と声をげたが、私はコーヒーをみ終え、ちがった。そこで言い争えば仕事に遅れるだけだったし、何より私には、そのの午になプレゼンが控えていた。
玄関で靴を履いていると、蒼太が追いかけてきた。
「ひより、母さんも悪気があるわけじゃないんだよ」
「悪気がなければ、の与座を管理していいの?」
「そうじゃなくて。族なんだから、もっと柔らかく考えろよ」
私は振り返った。
「蒼太。あなたは私の夫なのよね?」
「何だよ、急に」
「私にさせるのが、夫の仕事じゃないわよ」
そのの私は、まだ婚まで考えていなかった。
けれど会社へ向かうので、ずっと同じことを考えていた。
なぜ、私だけが「しすればいい」と言われるのだろう。
その疑問に答えがたのは、そのの夜だった。
私たち夫婦の共同活用座から、100万円が消えていた。
最初に気づいたのは偶然だった。仕事の移、クレジットカードの引き落とし額を確認するためアプリをいたところ、共同座の残が自然に減っていた。履歴を確認すると、2に100万円が別座へ送されている。
送先の名義を見た瞬、嫌な予がした。
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林翼。
蒼太の5歳の弟だった。
翼は30歳を過ぎても仕事が続きせず、転職と無職を繰り返していた。過にも恵子から「翼が資格学へ通いたいからし貸してほしい」「が壊れたから助けてあげて」と頼まれたことがあるが、私はそのたびに断ってきた。
その夜、私は帰宅してすぐ蒼太に尋ねた。
「翼君に100万円送った?」
蒼太は瞬目をそらした。
その反応だけで答えは分だった。
「……母さんから聞いたのか?」
「座を見たの」
「別に隠すつもりはなかったよ」
「相談もなく100万円かしておいて?」
恵子はダイニングで果物をべていたが、悪びれる様子もなく会話に入ってきた。「翼がを買うことになったのよ。がしりないって言うから、お兄ちゃんが助けてあげただけじゃない」
私はを疑った。
「を買うためのおがりないことを、普通は緊急事態とは言いませんよ」
「でも族でしょう」
「それなら恵子さんが貸せばいいじゃないですか」
恵子のが止まった。「私にはそんな余裕ないわよ」と当然のように答えたので、私はわず笑ってしまった。自分には100万円を貸す余裕がないのに、息子夫婦の座からなら勝にしても構わないとっているらしい。
蒼太が苛ったように割って入った。
「俺のでもあるだろ」
「そうね。あなたも入している座よ。
でも活費を払うための座でしょう?」
「100万円くらいで騒ぎするなよ」