"「他人の姉に使う金はない」夫と800万円の新居" 第27話
しかしその優しい嫁をいじめ抜き、から追いそうとしたのは、でもない自分自だった。
義母のシワだらけの目尻から、筋のたい涙がツーッと流れ落ちた。
「あ……うう……」
麻痺したから、かすれた悔のうめき声が漏れる。
しかしどれだけ涙を流しても、どれだけ悔やんでも、過をやり直すことは絶対にできない。
ナースコールを押す力さえない義母は、ただたいベッドので自分の愚かさと向きいながら、い老をき続けるしかないのだ。
誰からも謝されず、誰からもされない。
それはぬことよりもずっと残酷な、永に続くき獄だった。
彼らの完全な破滅をくれた所で聞きながら、私は静かに窓のを見つめていた。
病の窓のには、抜けるような青空と真っなが広がっている。
私は過のたい鎖を、自分ので完全に断ち切った。
く息を吸い込むと、の終わりのし涼しいが私の頬を優しく撫でていった。
これからは、私と姉の2だけのしいが始まるのだ。
姉の退院のは、空がく澄み渡ったれの穏やかな朝だった。
病院の玄関からにると、し涼しいのが私たちの頬を撫でていった。
私は姉のし痩せた背に、そっとカーディガンを羽織らせた。
「由美、ありがとう。
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の空気ってこんなにおいしいのね」
姉は目を細めてきく呼吸をした。
その顔にはかった闘病活の疲れよりも、しい命を得たびが満ちていた。
私たちは2でを繋ぎ、ゆっくりとした歩調でタクシー乗りへと向かった。
私たちがしい活を始めるのは、駅からしれた静かな宅にあるさなマンションだ。
夫と暮らしていたあの派な軒は、慰謝料と財産分与の代わりに私が全て売却した。
共財産だった800万円も、弁護士を通じて無事に取り戻すことができた。
残りの額の借を1で背負った浩司さんは、あの暗いアパートで惨めな活を続けているはずだ。
そして私と姉を見していた義母も、孤独なベッドので絶望のを過ごしている。
しかしそのことはもう、私ののに暗いを落とすことはなかった。
タクシーがしいマンションのに止まると、さな壇でコスモスがに揺れていた。
「当たりが良くて素敵な所ね」
姉は嬉しそうに微笑み、私たちは並んでエレベーターに乗った。
部のドアをけると、真しい畳のりと、差しで温まった空気の匂いがした。
取りは2DKと狭くなったが、私たち2には分すぎるほどの広さだ。
リビングの窓からは、くの公園の緑と、その向こうに広がる並みが見えた。
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「お姉ちゃん、ここが私たちのしいだよ」
私は振り返って笑顔を見せた。
「これからは2でゆっくり暮らそうね」
私がそう言うと、姉は部の真んでち止まり、ゆっくりと頷いた。
「本当にみたい。あなたのおかげで私、もう度き直すことができるのね」
姉の目から、粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。
私は姉の背を優しくさすった。
その背はとてもさくて、でも私を全力で守り抜いてくれた温かくてい背だった。
夕方になり、私はしい台所で夕の準備を始めた。
まな板ので野菜を切るトントンという軽な音が響く。
スーパーで買ってきた番い豚肉ではなく、今はしだけ良いお肉を買った。
姉の退院祝いに、姉が昔から好きだった肉じゃがを作るためだ。
お鍋から湯気がちり、甘辛い醤油の匂いが部に広がっていく。
「いい匂いね。昔、お母さんがよく作ってくれた肉じゃが、いすわ」
姉がキッチンを覗き込みながら嬉しそうに言った。
夫と義母の顔を伺いながら、怯えるように料理を作っていた々はもう終わった。
今は好きなの笑顔を見るために自分のでご飯を作るびをじていた。
リビングの隅には、しく買ったさな仏壇を置いた。
ここには若くしてくなった両親の穏やかな笑顔の写真が飾られている。
夕のに、私と姉は2で並んで仏壇のに座った。
お線にを灯すと、細い煙がまっすぐにちっていった。