"「他人の姉に使う金はない」夫と800万円の新居" 第5話
姉は自分の青も結婚も全てを犠牲にして私を育ててくれた。
そんな切な姉が倒れ、病院のベッドでの境を彷徨っているというのに。
夫は『に使うはない』と姉を見捨てた。
そして裏では私の財産を奪い、私を捨てようと計画をめていたのだ。
私はパンフレットをテーブルに置いた。
スマートフォンを取りし、何枚も撮した。
文字がはっきりと読めるように角度を変えて、何度もシャッターを切る。
そして元の通りにつ折りにした。
義母が座っていたクッションの隙に、そっと戻した。
今の段階で私が全てをっていると悟られるわけにはいかない。
確実に彼らを逃げのない所まで追い詰める必がある。
夕方になり、私はいつものように台所にった。
まな板ので野菜を切る音が、静かな部に響く。
何もらない妻を演じるために、いつも通りの夕を作らなければならない。
夜8を過ぎた頃、玄関のドアがガチャリといた。
「おい、帰ったぞ」
夫の浩司の声が響いた。
いつもの嫌な声ではなく、どこか弾んだようなるい声だった。
リビングに入ってきた夫は、嫌よくをっていた。
「今も残業で疲れたよ」
夫は私を見て笑顔を作った。
「飯はできてるか?」
夫はそう言いながら着ていたスーツの着を脱ぎ、私に差しした。
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私は無表のまま受け取った。
「お疲れ様でした」
く答える。
その瞬、をつくような甘い匂いがした。
夫が普段使うことのない、女性物のの匂いだ。
私は表を変えず、着をハンガーにかけるため廊へ向かった。
20続けてきた習慣で、型崩れしないようにポケットのをそうとした。
を入れただ。
指先に、いの触が触れた。
引きしてみると、それは1枚のレシートだった。
付は今の夕方6。
所は座にある級フレンチレストラン。
ペアディナーコース、2万8000円。
ご丁寧にグラスワインの追加注文まで印字されていた。
『残業で疲れた』と言いながら、夫はこのまで彩佳という女性と豪華なディナーを楽しんでいたのだ。
私の姉の命を救うための治療費は『に使うはない』と酷に切り捨てたくせに。
との事には躊躇なく3万円いおを使っている。
私はそのレシートをスマートフォンで撮した。
再び夫のポケットの奥に押し込む。
リビングから夫の声がした。
「先に呂に入るから、着替えをしておいてくれ」
夫はそう言い残し、洗面所へ向かった。
いつもならお呂までスマートフォンを持ち込む夫だが、今は違った。
の匂いをく洗い流したかったのだろう。
スマートフォンはリビングのテーブルのに置かれたままである。
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シャワーの音が聞こえ始めた直だった。
テーブルののスマートフォンが、ブルッとく震えた。
画面が青くり、着メッセージの通が表示された。
私は息を潜め、テーブルにづいた。
画面に表示されていた送信者の名は「田課」だった。
夫の会社の直属の司の名だ。
しかし画面にポップアップされたメッセージのプレビューには、信じられない文章が表示されていた。
『今はご馳様。ペアリング絶対バレないように隠してね。彩佳』
田課からの業務連絡を装った、からのメッセージだったのだ。
夫は私にバレないように、の連絡先を司の名に偽装していた。
なんて浅はかで醜い嘘なのだろう。
私は自分のスマートフォンを取りした。
その通画面をはっきりと撮した。
送信者が田課となっていること。
そしてメッセージの内容が彩佳という女性からのものであること。
この1枚の写真は、夫の倫を証する力な証拠になる。
写真を撮り終えた直、画面はすっと暗くなった。
私は何事もなかったかのように台所へ戻り、鍋のを止めた。
臓がしだけいつもよりくいているのが分かった。
10分ほどして、夫が呂からがってきた。
髪をタオルで拭きながら、夫は真っ先にテーブルののスマートフォンをに取った。
そして、私の方をちらりと見た。
「おい、俺のスマホ鳴らなかったか?」