"港に妻を捨てた次期社長候補の末路" 第13話
ナナさんは席順表を見ながら、派に舌打ちをした。
「偉いって、どうして隣に座りたいと座りたくないがいのかしら」
「子にも相性占いがあるの?」
「ナナさん、声がきいです」
「丈夫。偉いはこういうだけがいから」
私はさく笑った。
その笑いの直、秘の松尾さんが広報部にやって来た。
義母の秘ので、いつも表がいすぎている女性だった。
「森崎美緒様。会がお呼びです」
様がつくと、呼びしの言葉も柔らかく聞こえるから議だ。
会に向かうと、貴子さんが窓際にっていた。
な机のには、見慣れた菓子の箱とパーティーの招待状が並んでいる。
「席すると聞きました」
「はい」
「どういうつもり?」
貴子さんの言葉から、丁寧語が消えていた。
私はドアのにったまま答えた。
「紹介に私の名がありますので」
「あなた、玲を困らせたいの?」
「困っているのは私も同じです」
貴子さんはゆっくりと振り返り、私を見た。
「さんのことを聞いたのね」
やはり、彼女もっていた。
「いつからごでしたか?」
「美緒さん」
「いつからですか?」
貴子さんは机のの菓子の箱に線を落とした。
季節の羊羹だろうか。美しい包装に包まれていた。
「仕事の付きいです」
「質問に答えてください」
貴子さんは顔をげた。
「あなたはし勘違いしているわ。
広告
玲にはい責任があります。会社を継ぐ者には、に普通の庭では理解されない付きいもある」
私は歩にた。
「妻を港に置きりにする付きいですか?」
貴子さんの表がくなった。
「その言い方、誰に似たのかしら」
「母です」
私が即答すると、貴子さんは瞬だけ言葉を失った。
私はし驚いた。
今の自分が、母をしも恥ずかしいとわなかったことに。
貴子さんは革張りの子に座り、く息を吐いた。
「パーティーでは何も話さないこと。夫婦仲を見せる必はないけれど、乱すことも許しません」
「私は乱しません」
「信じていいのね」
「私が話さなくても、玲さんが自分で乱すかもしれません」
貴子さんの目が鋭くった。
「何をっているの?」
「半分だけです」
私がそう言うと、貴子さんの指が机の端をく掴んだ。
半分という言葉に、彼女はらかに反応した。
メールの差は、貴子さんのごくくにいるなのかもしれない。
会をると、廊の角に秘の松尾さんがっていた。
彼女は私と目がうと、さく会釈した。
いつもならすぐに線を逸らすのに、そのは瞬だけ、何かを言いたそうに唇をかした。
けれど、結局彼女は何も言わずにっていった。
その夜、らないアドレスから通目のメールが届いた。
『奥様が見たは、港で初めて来たものではありません。
広告
に乗るから配されていました』
添付ファイルがつ付いていた。
くと、両配の仮押さえ記録の画像だった。
『発の横浜港 乗予定者:森崎玲 同者:さや』
備考欄にはこうあった。
『は別線希望』
別線希望。
つまり、最初から私と別にく予定だったのだ。
結婚周の旅は、発するから夫婦の旅ではなかった。
私は実の畳のに座り込んだ。
母が階段のから「お呂先に入る?」と聞いた。
返事をしようとしたが、喉が詰まって声がなかった。
しして、母が階にがってきた。
「どうしたの?」
私は何も言えず、ただスマートフォンを差しした。
母は画面の文字を読み、しばらく黙っていた。
それから、私の隣にどっこいしょと座った。
「ひどいね」
母の言葉は、それだけだった。
ひどい。
その言葉は単純すぎて、逃げがなかった。
私はようやく声をさずに泣いた。
子供のように、息だけを乱して泣き続けた。
母は私の背をさすりもしなかった。
ただ、隣にじっと座っていた。
私が泣き終わるまで、台所のを消し忘れたことにも気づかずに。
翌朝、私の目はひどく腫れていた。
蔵庫の保剤をタオルに包んでまぶたに当てていると、母が言った。
「パーティー、くの?」
「く」
「やめてもいいのよ。やめたら、玲の話だけが残るけど」
母はしばらく私を見て、力く頷いた。
「じゃあ、髪くらい綺麗にしていきなさい。