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"5足の男物スリッパと偽装不倫の罠" 第5話

果物を切る包丁の音が、わずかにくなった。

私はのり子の背に向かって尋ねた。

「何か続きがあるんですか?」

のり子は包丁を置き、振り返らずに答えた。

「町内会の類よ。あなたには関係ないでしょう」

先ほどの『例の用』という言葉を聞いたでは、その苦しい説をそのまま受け取ることはできなかった。

のり子は果物の皿を持ち、私より先に急ぎで居へ戻っていった。

帰り、裕介は駅までののりをずっと黙って歩いていた。

私は並んで歩きながら、『例の用』について尋ねた。

裕介は取りのまま答えた。

「母さんに確認する」

私の声がくなった。

「今、聞けなかったの」

裕介はち止まり、うつむいた。

「親戚ので、母さんを追い詰めたくなかった」

その言葉に、私は返す言葉が見つからなかった。

私が親戚ので追い詰められることには、彼はずっと気づかなかったのだ。

裕介はハッとして、すぐに自分の言葉を言い直した。

「違うな。また俺は、母さんのを先に考えた」

信号が青に変わっても、私たちはしばらくその所からかなかった。

彼はようやく、自分自さから目をそらさなくなったのだ。

へ戻ると、裕介は仕事用の帳をいた。

のり子が事の途にした言葉の辻褄を確かめるためだった。

「来に、マリカの荷物を運べばいい」

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のり子は確かに、事の席でそう言っていた。

私はそのは聞き流していた。

マリカの部の話に続いたので、ただのいつきだと考えていたからだ。

けれど、帳を見つめる裕介の顔が変わった。

私が議にって聞いた。

張のは、まだ会社でも確定していない。お義母さんには話していないの?」

彼は帳をバタンと閉じた。

「誰にも言っていない。候補のっているのは、俺と司だけだ」

その、裕介は急いで居てを調べ始めた。

類入れのから、会社の張予定表がてきた。

先週印刷したまま、ここへ置きっぱなしにしていたものだ。

そのは、のり子とマリカが無断でへ入ったなっていた。

予定表の向きは、裕介が最初に入れたとは逆になっていた。

の端には、く折ったようなはっきりとした跡も残っていた。

マリカが仕事部の写真を撮ったこと。

2が留守へ無断で入っていたこと。

『例の用』について親戚がっていたこと。

そして、まだ決まっていない張のをのり子がにしたこと。

バラバラだった来事が、見えない細い糸で結ばれ始めた。

私は初めて、だけを守っていてもりないのだとじた。

「裕介」

私は彼を呼び、予定表を元の類入れに戻さず、携帯話のカメラで写真に残した。

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「これからは、予定も類も2で管理しよう」

彼はゆっくりとく頷いた。

もはや言葉で謝るだけではりないと、彼自も分かり始めていたのだ。

私は玄関の扉と廊を交互に見比べた。

いくら鍵を変えても、誰かが何をしたかまでは空に残らない。

次に守るべきものは、物理な扉ではなかった。

で起きた『事実』そのものだった。

翌朝、私は玄関の靴箱のをすべて空にした。

鍵を変えただけでは、に残された穏なものまでは消えない。

裕介も会社へし遅らせ、黙って私の隣に座った。

靴箱の奥には、古い防布の来客用の傘が入っていた。

その傘をどけると、から見覚えのない段ボール箱がてきた。

箱の蓋には、マリカのマジックの丸文字で『来客用』とかれていた。

私は箱を指差し、裕介に尋ねた。

「これ、ってる?」

裕介は怪訝な顔をして首を横に振った。

箱のには、男性用のスリッパが5、隙なく押し込まれていた。

どれも同じ濃いで、値札もされていない品だった。

私たちは、来客用のスリッパをすでに4持っていた。

裕介がい声で呟いた。

「母さんたちが持ち込んだのか」

裕介はスリッパを1持ちげ、裏側を確かめた。

私は箱の隅に貼られたさなの札を見た。

『桜商』にある、所の用品の名が印字されていた。

購入かれていなかったが、箱はしかった。

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