"13歳の娘だけ、保険証にいなかった" 第10話
計は決して楽ではなかったが、修は「けるところまでけ」と言い、子は内職を増やした。浩と信夫もきくなり、のは以よりさらに騒がしくなった。
卒業、美津子は町の医院で働き始めた。
最初は受付や会計の伝いだった。
病院の窓へ来るのには。
保険証を忘れた。
制度が分からない。
族関係が複雑な。
いろいろいた。
ある。
母親に連れられたさな女の子が来た。
受付で名字が違う理由を尋ねられ。
母親が困ったように説していた。
美津子は余計なことを聞かなかった。
必なことだけ確認し。
「丈夫ですよ」
と伝えた。
その。
13歳の。
役の子へ座っていた自分を。
しいした。
20歳になった頃。
美津子は初めて。
での墓へった。
と線を持ち。
墓へしゃがんだ。
い。
何も言えなかった。
「お母さん」
声にしてみた。
議なじがした。
自分を産んだ女性。
写真でしからない母。
もう声を聞くことも。
抱かれた記憶をいすことも。
できない。
「私、藤井になったよ」
墓へ話しかけた。
「でも、お母さんのこと忘れてない。忘れてないっていうか、今からっていこうとってる」
が吹いた。
返事はない。
「清さんの写真も持ってる。お父さんって呼んでいいのか、まだちょっと変なじだけど」
美津子は笑った。
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「私には、お父さんもいたんだね」
帰り。
野清の墓にもをわせた。
そのの夕方。
藤井へ帰ると。
台所から噌の匂いがした。
「ただいま」
子が振り返った。
「おかえり。遅かったね」
「お墓ってきた」
子のがし止まった。
「姉さんの?」
「うん」
「そう」
美津子は靴を脱いだ。
「お母ちゃん」
「何?」
「今、さんのこと、お母さんって呼んでみた」
子はしばらく娘を見ていた。
昔なら。
その言葉を聞いて。
胸が痛んだかもしれない。
今は。
し笑った。
「姉さん、んでたでしょう」
「分かんない」
「相変わらずね」
「何が?」
「分からないってすぐ言うところ」
美津子も笑った。
「でも、お母ちゃんはお母ちゃんだから」
子は目を伏せた。
涙を隠したのが分かった。
「噌汁めるよ」
「はいはい」
夕には。
修もいた。
浩も。
信夫も。
以と同じように。
狭い卓袱台を囲んだ。
あの昭36の。
冊のしい保険証から。
美津子の名だけが消えていた。
その。
彼女は。
自分だけが族のにいるとった。
けれど。
が経って分かった。
は。
切だった。
戸籍も。
保険証も。
続きも。
「緒に暮らしているから、それでいい」
だけでは済まないことがある。
修と子が13。
続きを先延ばしにしたことも。
決して褒められることではなかった。
実際。
美津子が病気になった。
その曖昧さは。
目に見える問題になった。
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だから。
など関係ない。
とは言えない。
しかし。
だけでも。
族は作れなかった。
は。
美津子を産んだ。
清は。
いだったが。
娘を腕に抱いた。
子は。
夜泣きする美津子を。
何百回も抱いた。
修は。
をした娘のため。
夜を医者までった。
浩と信夫は。
まれたから。
美津子を姉だとっていた。
その全部が。
美津子というのの。
族だった。
昭36。
本では国民皆保険の体制がい、くの庭にとって医療保険がよりな仕組みになっていった。
制度がうことは。
ただ便利になることではない。
それまで曖昧なままでも暮らせていたことが。
類によって。
突然。
目のへてくることもある。
藤井に届いた保険証も。
そうだった。
分の名がない。
たったそれだけのことが。
13。
誰も正面から見ようとしなかったものを。
族全員のへ。
引っ張りした。
。
美津子は自分の子どもたちへ。
この話をすることがあった。
「保険証に私の名だけなかったの」
子どもたちは最初。
決まって驚いた。
「じゃあ、おばあちゃんは本当のお母さんじゃなかったの?」
美津子はそのたび。
し考えて答えた。
「産んでくれたお母さんではなかった。でも本当のお母さんだったよ」
「とも?」
「とも」
「おじいちゃんも?」
「お父さんもいた」
子どもには。
それで分だった。
美津子自。
13歳の頃には。
どちらが本当か。
決めなければならないとっていた。
今は違う。
のは。