"兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知" 第2話
では、300億円を
「妹さんもいらしていたのか」
園部修は私を度見て、すぐ兄に線を戻した。廊にっていたホテルの係が声をかけようとしたが、息子の克彦が「族の話ですので」と扉を閉めた。
「琢磨君、そう刻に受け取ることはない。結婚してからわないと分かるより、よかっただろう」
「絵里さんも、そう言っているんですか」
兄の問いに、修は袖を直した。
「娘のことは私たちが考える。君は自分の暮らしに戻ればいい」
正子が机の指輪の箱に目を留めた。兄は蓋を押さえ、着の内側へしまった。に笑われない所へ、事なものを移す仕だった。
「あなたがで美容のお仕事をしている妹さんね」
正子は私のバッグを見ろした。祝いの席にうよう選んだ淡いのワンピースまで、値踏みされている気がした。
「はい。柏美玲です」
「お兄さんにも申しげたんですけれど、同士のお付きいには釣りいというものがありますでしょう」
私は机のスマートフォンに触れた。兄に送られた画は、もう私の元にもある。目ので言い逃れをねるたちのために、兄の説を疑う必はなかった。
「まあ、お兄さんと2で、の丈にったお相を探してくださいね」
正子の声を聞き終えてから、私は修に向き直った。
「のお名を確認させてください。
広告
央で、お違いありませんね」
「そうだ。私が会だが」
修の顎ががった。私が頼み事をするとったらしい。私はバッグから携帯をし、登録してある番号にかけた。
「宇野さん。今、お話しできる?」
『はい、会。どうなさいました』
「央からの資移管、倒しで始めて。対象の預はいくら?」
話の向こうでキーボードの音がした。
『株式会社ミレイ名義の対象元本は、300億円です』
私は窓に映る兄を見た。片を着に当て、指輪の箱を押さえていた。
「じゃあ、預300億、全額解約で。定期の解約とへの移管を、承認済みの計画に沿ってめてください」
克彦が、閉じたばかりの扉からをした。
『本に先方へ正式な通をします。続きは週けからです。与と決済の切り替えまで含めると、完まで60から90ほどかかります』
「支払いが止まらないことを最優先で。定期の条件も、確認した内容でめて」
『承しました。先の取締役会で承認された移管計画の実施を、本付にいたします』
通の連絡先を宇野に任せ、話を切った。兄が私の名を呼んだのは、その直だった。
「美玲、俺のことで、おの会社に迷惑をかけるな」
「会社のおだから、会社で決めた順でかすよ。から準備していたの」
資を預けるを分け、との取引にう体制へ変える。
広告
財務からがった提案を検討し、移管先との準備もめていた。婚礼のに始めるつもりだった程を、今、繰りげた。
兄に最まで説すると、私は名刺入れをいた。
MIREI Beauty Group。
そのに、創業者・グループ会と印刷してある。本法である株式会社ミレイの代表取締役社も、私だ。
35歳になった今も、兄にはや商品の話ばかりしていた。商や預残を伝えれば、このは誕の贈り物まで慮しそうだったからだ。
修は差しした名刺を受け取らなかった。机に置くと、先に覗き込んだ克彦の目が、会社名のところで止まった。
「ミレイ……」
「ごじなんですか」
克彦は返事をせず、父親の方を見た。正子だけがさく笑った。
「ずいぶんきなお話をなさるのね。そんな額、本当にご自分でかせるの?」
私は名刺を指で押しし、氏名の欄が見える向きにした。
「に確認していただいて構いません」
「父さん、まず確かめよう」と克彦が言った。その声を遮るように、彼の胸元で携帯が鳴り始めた。画面を見た克彦は、正子の笑い声が続いているに着信へ応じた。
「はい、園部です。本部から? 今、何を受け取ったって?」