"「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ" 第9話
族だからと言う
「結ちゃん、おばあちゃんよ」
義母の声は、以より柔らかかった。結は携帯をに当てたが、すぐに画面を触り、スピーカーへ切り替えた。私が隣に座ると、クッションを膝に抱えた。
「もう病院じゃないの?」
「おうちに帰ってきたの。ずっと1だと、寂しくてね」
結は返事をせず、クッションの角を指で折っていた。義母はしを置いて続けた。
「たまには顔を見せて。みたいに、朝だけでも来られないかしら」
「朝?」
「ほら、血圧を測るの。結ちゃん、だったでしょう」
結の指が止まった。私はをきかけたが、娘が先に聞いた。
「私たちがいない方が、静かなんじゃないの?」
話の向こうで擦れの音がした。
「何を言ってるの。おばあちゃん、そんな」
「言ったよ。パパが3とも連れていけって言った、やっと静かになるって」
「あれは、そういうじゃないのよ。結ちゃんまでていくなんて」
「3って、私も入ってるよ」
義母が黙った。私は娘の横顔を見た。声はいつも通りなのに、膝ののクッションは指の形にへこんでいた。
「おばあちゃん、私、毎朝なるべくさい声で話してたよ」
結が言うと、義母の息を吸う音が聞こえた。
「でも、うるさいって言ってた。だから、もうかない」
「そんなこと言わずに。おばあちゃん、困ってるのよ」
「パパに頼んで」
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結は「じゃあね」と言って通話を終えた。携帯を置いたも、しばらくクッションを放さなかった。
「ママ、ったかな」
「ったかもしれないね。でも、結が毎朝く約束をしなくてもいいんだよ」
「ばあちゃんが困るって言ったから」
私はクッションを握るに、そっと自分のを添えた。
「困っていることは、同士で相談できるよ。ママも必な連絡はする。結が全部引き受けなくても丈夫」
結は私の肩へ額を寄せた。私は何も言わず、娘が自分から顔をげるまで待った。
そのの午、也から希にも話があった。部活から帰ってきたばかりで、希は卓に楽器のケースを置いていた。画面の名を見ると、携帯を机に置いてスピーカーにした。
「母さんに、しはばあちゃんの面倒を見てやれって言ってくれないか」
希はケースの留め具にかけていたを止めた。
「自分で言えば」
「俺が言っても聞かないんだよ。おからなら聞くだろ」
希が私を見た。私は娘を見返し、そのままそばにいた。
「私がお願いすることなの、それ」
「族だろ。ばあちゃんも入院したんだぞ」
希はケースをき、布を取りした。
「パパ、私が部活で何やってるかってる?」
「音楽だろ。今その話じゃなくて」
「楽器。何を吹いてる?」
也は答えなかった。希は管のへ布を通し、ゆっくり引き抜いた。
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その端を揃えてから、もう度聞いた。
「分からない?」
「母さんに任せてたんだから、仕方ないだろ」
「ママに聞かなくても、私に聞けたよ」
私は流しに置こうとしていた皿を、台のへ戻した。希は私の方を見ずに続けた。
「来、演奏会があることもらないでしょ。私のことは聞かないのに、頼み事があるだけ族って言わないで」
「希、おまで母さんみたいなことを」
「私がったことだよ。ママには頼まないから」
希は話を切った。ケースに楽器を収めようとしたが、が止まり、布をもう度畳み直した。
「言いすぎた?」
「頼まれたことを断っただけだよ」
「別に、ばあちゃんが入院してよかったとか、そういうことじゃないから」
「分かってる」
希はをすすり、ケースを閉じた。私は娘の隣へ座った。結も居から来て、姉の反対側の子によじ登った。
2とも、話で話しているは泣かなかった。ここへ戻ってからようやく崩せる顔があるのだとい、私は急いで別の話をしなかった。
夕方、インターホンが鳴った。画面には也が映っていた。
「優馬に会わせてくれ。あいつなら、ちゃんと話ができる」
私は本に確認すると答えた。廊へると、すでに優馬が部の戸にっていた。
「俺、で話してくる」
着を取るが、途で度止まった。優馬は袖を通し、私の方を向いた。
「今度は俺に、何をやらせたいんだろうね」