"「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ" 第1話
その言葉、忘れないでね
「婚しましょう」
私がそう言うと、也は箸を置いた。テレビでは演者が笑っていたが、卓の誰も画面を見ていなかった。
「いいぞ。子供3は全員おが連れてけ」
隣にいた義母の美代子が、を叩いて笑った。
「そうそう。まとめててって。やっと静かになるわ」
結のスプーンが皿の縁に当たった。私は膝ので両をねた。自分が何を言われるかは考えていたのに、子供たちの目のでそれを言うとはっていなかった。
2の優馬が父親を見た。
「父さん。ばあちゃんも、本当にそれでいいの?」
「なんだよ」
「その言葉、忘れないでね」
優馬は声を荒らげなかった。也は唇を曲げ、子の背にもたれた。
「なんだ、そのの利き方は」
「確認しただけだよ」
43歳の私は、17歳の優馬、14歳の希、10歳の結を育てながら、会社の経理財務部で主任を務めている。3歳の也との結婚活は19になり、69歳の義母が同居を始めてからも、もう7が過ぎていた。
卓の端には、優馬の希望調査票があった。そのに、私の仕事の類がねられている。夕方、義母が納戸の机から運びしてきたものだ。
「ここ、私の荷物を置くから。週末までに空けてちょうだい」
そう言って、パソコンの横に古い座布団を積んだ。あの3畳の部で、私は8、会社とは別に経理の仕事を請け負ってきた。
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也に話しても、「内職なんかやめて、のことをちゃんとやれよ」と言われた。朝5に起きて弁当を作り、仕事から帰れば夕飯と洗濯を済ませている。義母の通院には休を使った。それでも、私にはまだりない仕事があるらしかった。
先週は優馬ののことで、同じ言い方をされた。
「国が駄目なら就職でいいだろ。3もいるんだ。そんなにはせないぞ」
その夜、優馬は机に向かう私のところへ来た。模試では志望の判定ががったばかりなのに、「学だけが全部じゃないから」と言った。
族が緒にいる方が、この子たちのためになるとっていた。けれど、緒にいるために諦めようとしているのは、いつも子供たちの方だった。
「仕事はやめません。優馬のも、あなたが今ここで決めることではありません」
私が言うと、也は調査票を指で押し返した。
「だから、勝にていけばいいだろ。3とも置いていくなよ」
結が両を子のに引っ込めた。元には『おばあちゃんの血圧』とかれたノートが入った袋がある。翌朝も測るつもりで、さっき自分の部から持ってきたものだった。
私は結の隣へ子を寄せた。
「どこで暮らすかは、あなたたちの気持ちも聞いて決めたい。ママは、3と緒に暮らしたいとってる」
「俺は母さんとく」
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優馬がすぐに答えた。希も顔をげた。
「私も。学だけ、変わらないところがいい」
「探してあるよ。同じ学に通えるところ」
希は私を見つめ、それからさく頷いた。結が私の袖をつかんだので、私はそのに自分のをねた。
「私もママとく。泳ぐの、また習ってもいい?」
「うん。落ち着いたら、緒に探そう」
結の泳をやめさせたも、私はの空気が荒れるのを避けた。あのしまったプールバッグが、今も押入れにあることをいした。
「おら、もう話をつけてたのか」
也が卓を見回した。誰も父親のそばへかないことに、ようやく気づいたようだった。
「つけてないよ。今、自分で決めた」
希が答えると、義母は乱暴に湯みを置いた。私はいつものように謝りそうになり、を閉じた。娘が自分の気持ちを言っただけだ。
私は調査票と仕事の類を取り分け、角を揃えた。にねたままでは、どちらもまた誰かの荷物のに入ってしまう。
「続きの話は、弁護士を通してお願いします」
也のが止まった。
「そこまで勝に決めてたのかよ」
「相談にはきました」
也は私の隣にいる結を見て、今度は私の顔を見た。
「恵美、養育費は1円もさないからな。それでも本当に、3を育てられるんだな?」