"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第16話
かなかった鍵
母は古い鍵をへ回し、抜いては差し直していた。3度目には扉を肩で押し、鍵穴をのぞき込む。それでも玄関はかなかった。
いコートの裾が朝のに揺れ、母の吐く息がく映っている。以ならその姿を見ただけで、由は「寒いから」と扉をけていただろう。だが、けた扉の向こうから何を持ちられたのか、私たちはもうっていた。
『直、いるんでしょう。どうして鍵がかないの!』
インターホン越しの声がのへ響いた。計は朝712分。母は訪ねるとも告げず、以と同じように勝に入るつもりで来たのだ。
私は応答ボタンを押した。
「鍵で入って材を持ちしたから、鍵を替えた」
『親に黙っての鍵を替えるなんて、どういうつもり? くけなさい。話があるの』
「話なら、そこで聞く」
母はカメラをにらみ、「嫁に言われたのね」と声を荒らげた。6ページの資料を送ったせいで親戚から話が来なくなった、所で恥をかいた、父までたくなった。自分が何をしたかではなく、失ったの話ばかりが続いた。
『由さんをしなさい。あのが来てから、うちの族はおかしくなったのよ』
背にいた由が、私のから受話器を受け取った。細い指には、正料理でできた傷の跡がまだ残っている。それでも声は震えていなかった。
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受話器を握るには力が入っていたが、逃げるように目を伏せることはなかった。由はカメラのの母を見つめ、自分の言葉が相をらせるかではなく、自分たちの活を守れるかを考えていた。
「お義母さん。族がおかしくなったのは、私が事実を話したからではありません。お義母さんが私たちのへ無断で入り、私のおで買った物を持ちし、直さんのおを隆志さんへ流していたからです」
『嫁のくせに、親へそんな言い方をするの?』
「私は、9ずっと“嫁なら当然”と言われてきました。でも、その言葉で私のやおやを自由に使うことは、もう認めません」
母は扉をく叩いた。
『私は直を育てた母親よ。このに入る権利くらいあるでしょう!』
「ここは俺と由が働いて買っただ。訪ねるは事に連絡する。返事がなければ来ない。鍵は渡さない。が必なら、父さん本が理由と額を連絡する。これが今の条件だ」
『そんな条件をつけるなら、由さんを族とは認めません』
由は度息を吸い、はっきり答えた。
「それなら、族の義務だけを私に求めないでください。来の正料理も、親戚への産も、お義母さんの代わりには用しません」
扉のが静かになった。拒絶すれば由が謝り、自分から関係をつなぎ直すと、母はっていたのだろう。
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しかし由は受話器を置かず、もうつ伝えた。
「それから、これ以、事実と違う話を親戚や所へ広めたは、と内容を記録します。話しいが必なら、恵子伯母さんかお義父さんに同席してもらいます。2きりでは会いません」
母は何も答えず、古い鍵を玄関マットのへ投げた。い属音がして、音がのへざかっていく。
しばらくして玄関カメラを確認すると、母はので度振り返っていた。だが私たちが追いかけてこないと分かると、話を取りし、誰かへったように話しながら歩きった。これまでなら、その話本で親戚の誰かが母の方になった。しかし今は、18全員が同じ6ページを持っている。
私は扉をけ、残された鍵を拾った。あの、7つの保箱を運びすために使われた鍵は、もう何の扉もけられない。
居へ戻ると、由はカーテンをけた。朝のが、正の騒以来ようやく片づいた卓へ差し込む。彼女はしい鍵をのひらに載せ、しばらく見つめてから、さく笑った。
「やっと、ここが私たちのになった気がする」
そのの夕方、父から「今度はで謝りにきたい」と連絡が届いた。