みかん小説
本棚

"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第12話

振り込まれなかった朝

そのの25、母は朝9を待ってった。

私が止画面を見せても、正の席で腹をてているだけで、がたてば元に戻すとっていたらしい。ATMへ通帳を入れ、記帳された最を何度も見直した。しかし、毎そこにあった6万円は入っていなかった。

母は通帳を取りしてから、もう度同じ操作をした。背に列ができても画面かられず、最には窓って「振込が反映されていない」と訴えたという。員が調べても、振込予約そのものがしない。そこで初めて、私の言葉が脅しではなかったと理解した。

917分、私のスマートフォンが鳴った。

『直、振込を忘れているわよ』

「忘れていない。正に話したとおり、定額振込は止めた」

『親に恥をかかせて、まだ気が済まないの? 今に入れなさい』

「必な医療費なら、父さんから連絡をもらう。母さんへ6万円は送らない」

私はそれだけ告げて通話を終えた。母からは10分おきに話が入り、昼までに11件、夕方には23件になった。由の端末にも着信があったが、彼女は画面を伏せ、仕事へ戻った。

の由なら、23という数字を見ただけで「何かあったのかもしれない」と折り返していた。だがそのは、震え続ける端末を引きしへ入れ、「本当に必な連絡なら、お義父さんから来るから」

広告

と言った。声は静かだった。無しているのではない。連絡を受ける相と、受けなくてよい相を、自分で選び始めたのだ。

の翌、父は約束どおりで暗証番号と送設定を変え、自分で通帳を管理し始めていた。持ちした材の25万1840円も、母がため込んでいた定期預部を解約し、期限内に由へ返した。母は最まで「親からを取るのか」と責めたそうだが、父は領収の額を円も欠かさなかった。

夕方、今度は父から話が来た。

『母さんは、6万円が入らないと隆志へ4万円を送れないと言っている。自分の預からせばいいのに、それは老だから触れないそうだ』

「俺たちの老や由の負担は考えなかったのにな」

父はしばらく黙り、「そのとおりだ」と答えた。母は自分の預を守りながら、私たちの座から届くだけをと呼んでいた。その矛盾が、6万円の空によってようやく目に見える形になったのである。

『返す言葉もない。隆志にも、今から送はないと伝えた』

父の声には疲れがにじんでいたが、以のように母のろへ隠れるさはなかった。私は、父が自分で決めたことまで背負うつもりはないと伝え、話を切った。

その頃、母から連絡を受けた隆志のでは、別の揉め事が起きていた。から父に聞いた話では、隆志は毎の4万円を自分の収入として計に組み込み、のローンと駐代に充てていた。

広告

子には「会社の当が増えた」と説していたため、正の送話をきっかけに嘘まで見したのである。

4万円が消えれば、放すか、や旅を減らさなければならない。活できないわけではない。ただ、兄夫婦の負担で保っていた暮らしを、自分の収入にわせる必ただけだった。ところが隆志はそれを、援助の終ではなく、自分のを奪われた来事として受け取った。

夜8過ぎ、由と遅い夕を取っていると、玄関のインターホンが鳴った。画面には隆志と麻子がっていた。隆志はコートのポケットへ両を入れ、麻子は腕を組んだまま、険しい顔で玄関を見げている。

なくてもいいよ」

はそう言ったが、声に以のような怯えはなかった。私は卓に置いていた取引細の写しを持ち、玄関へ向かった。

扉をけると、隆志は挨拶もせずに言った。

「兄貴。母さんへの6万円、元に戻してくれ。族が本当に困っているんだ」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: