"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第10話
60回の送記録
取引細には、毎ほぼ同じきが並んでいた。
25、私から6万円。26か27、父の座から4万円。その送先は、サエキ・タカシ。5から先まで、計60回だった。
「4万円が60回。隆志へ渡ったのは、全部で240万円だ」
私が数字を読みげると、母は反射に細を奪おうとした。父が初めてそのを払いのける。
「俺は、直のをおと俺の活に使っているとっていた。隆志に送るなんて、度も聞いていない」
「あの子は転職して変だったのよ。兄弟なのだから、余裕のあるほうが助けて当然でしょう」
「それなら、なぜ俺にも直にも話さなかった」
父の問いに、母は答えず、由をにらんだ。
「由さんが細かいからよ。たった4万円でも、きっと嫌な顔をするでしょう」
由はりよりも疲れのにじむ目で母を見返した。
「私は、お義父さんたちの活費だと聞いていました。隆志さんの賃やのためだとっていたら、最初に直さんと話しっていました。それを“細かい”と言うのですか」
母は何も言えなくなった。私は先ほど切れた弟との通話をかけ直した。今度は1回でつながったが、隆志の声から先ほどの気は消えていた。
「隆志、父さんの座から毎4万円を受け取っていたな」
『母さんが送ってくれていたんだ。兄貴のだなんて聞いてない』
「5から60回だ。
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何に使った」
『最初は転職したの賃だよ。そのあとはのローンとか、結婚の準備とか……でも、母さんが親のだから慮するなって』
母は話へを乗りし、「あなたは悪くないのよ」と隆志をかばった。だが、その言でかえって誰が送を決め、事実を隠していたのかが確になった。
「母さん、隆志が困るたびに相談されたのか」
「母親なら息子を助けるでしょう。4万円があれば、あの子は並みの活ができたのよ」
「その4万円を作ったのは母さんじゃない。由と俺だ」
私がそう告げると、母はを閉ざした。自分が弟を救ったのではなく、私たちので謝を買っていた。その事実だけは、どんな族論でも言い換えられなかった。
「父さんはらなかった。原資は、俺と由が両親のために送った6万円だ」
話の向こうで隆志が息をのんだ。すぐそばにいたらしい麻子が「毎もらっていたの?」と問い詰める声も聞こえた。材の件では平然としていた彼女も、結婚から続く送まではらなかったようだ。
『兄貴は俺より料がいだろ。4万円くらいで今さら騒ぐなよ。俺だって、いずれ余裕ができたら――』
「5待っても、余裕はできなかったのか」
『族なんだから、困ったは助けえばいいだろ』
「俺たちが誰を助けているのかさえ、らされていなかった。
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それは助けいではない」
恵子伯母も話へ向かって言った。
「助けいというのは、事を話して、できるが納得してを貸すことよ。兄夫婦に黙ってをさせ、受け取る側まで当然だとうのは違うでしょう」
隆志は「伯母さんには関係ない」と吐き捨てたが、その声には焦りが混じっていた。
正料理には、由が9で167万8000円を払っていた。そのうえ、私たちが両親のために送ったの部が、弟の活を支えていた。隆志がしいを買った、由は壊れた自転を修理して乗り続けた。弟が結婚式の撮りにをかけた、私たちは湯器の交換を半先へ延ばした。
比べるべきではないとっていた過が、60本の送記録によって本につながっていく。偶然でもな救済でもない。母は、私たちが黙って差しすを、弟へ流す仕組みに変えていたのだ。
「久、俺の暗証番号を使って送したな」
父の声はかった。母は畳の縁を見つめたまま、「隆志のためだった」と繰り返した。
私は細の最のへ指を置いた。先26、4万円。これでちょうど60回になる。
「母さんが“たった4万円”と呼んだは、もう240万円だ」