"251840円の正月料理を持ち去った義母" 第7話
弟嫁がっていたこと
隆志は4回目の呼びし音で話にた。背では器の触れう音と、麻子の親族らしい々の笑い声が聞こえている。
『母さん、今忙しいんだけど。何かあった?』
「直が変な言いがかりをつけているのよ。昨持っていった材は、私からあなたたちへの贈り物だったわよね?」
母は通話をスピーカーに切り替え、同を求めるように声をめた。
『そう聞いてるよ。兄貴たちが何をってるのからないけど、俺たちは普通にもらっただけだ』
「隆志、その蟹も肉も由が本の18分として買った。母さんは由の留守に鍵で入り、全部持ちしたんだ」
『そんなの俺に言われても困るよ。母さんが持ってきたんだから、母さんの物だとうだろ』
「煮物容器には由の字があったはずだ」
話の向こうでい沈黙が落ちた。隆志が何か言いかけた、しれたところから麻子の声が割り込んだ。
『何を揉めてるの? それ、本用だったけど由さんにはまた買わせるから丈夫って、お義母さんが言ってた材でしょう?』
座敷にいた全員の目が母へ向いた。
『麻子、余計なことを言うな』
『だって、本当のことでしょう。お義母さんが、由さんは逆らわないから配いらないって――』
「麻子さん!」
母が鳴にい声をげたが、もう遅かった。
広告
麻子は最初から、本用に用された材だとっていた。それでも自分の両親に豪華な料理を見せるため、受け取ったのだ。
母は慌てて声をねた。
「麻子さん、あなたが欲しいと言ったから持っていったのよ。隆志のを考えれば、そのくらいして当然でしょう」
『私だけのせいにしないでください。お義母さんが、男夫婦には毎おをさせているから問題ないって言ったんじゃないですか』
今度は父が顔をげた。「毎」という言葉に反応したのだ。私はその変化に気づいたが、まずは目のの材について最まで話させることにした。
恵子伯母がややかに尋ねた。
「麻子さん、残っている物を今から返せる?」
『無理です。もう料理に使いましたし、凍の物は親戚にも分けました。そもそも、私たちはお義母さんから受け取ったんです。返すなら、お義母さんが代を払えばいいんじゃないですか』
謝罪より先に責任の押し付けいが始まった。隆志は「麻子の両親もいるんだぞ」と繰り返し、自分たちの体面ばかり気にしている。
話の向こうでは笑い声が消え、誰かが声で「どういうこと」と尋ねていた。豪華な贈り物で飾った弟夫婦の正は、その材が誰ので、どこから運ばれたものか分かった途端、居の悪い沈黙に変わった。
広告
それでも隆志のから、由への謝罪はてこなかった。
「兄貴、今だけは黙ってくれないか。こっちは婚最初の正なんだ。親戚にこんな話が聞かれたら、俺たちの顔が――」
「由の顔を9潰してきたが、自分のだけ守れと言うのか」
『9って、何の話だよ』
私が答えるに、隣で由がさく息を吸った。先ほどまで私のろにっていた彼女が、歩へる。にはをる直、鞄へ入れた古いノートが握られていた。
油染みの残る表を見た母の顔が、らかにこわばった。
そのノートを私は何度か台所で見たことがあった。てっきり献をき留めるためのものだとっていたが、由は料理だけでなく、母から言われた品と額を毎残していたのだ。責められたに記憶違いだと言われないため、で記録を積みねていた。その事実が、鈍いさとなって胸に落ちた。
「由さん、それは今ここですようなものじゃないでしょう」
母は話を切ろうとしたが、由が初めてそのを制した。
「いいえ、お義母さん。今だけの話ではありません」
由は9分の記録が残るノートを、親戚たちので静かにいた。